税金の申告を巡る話
 今朝‘12月10日)、朝刊を読むと音楽評論家の遠山一行氏の逝去を報じていた。私自身音楽を格別勉強したことはないが、映画「アマデウス」を見てからモーツアルトに興味を持ちCDを買い込んで聴いた。モーツアルト事典、クラシック音楽作品名辞典を始め高橋英郎、井上太郎、海老沢敏、柴田冶三郎氏らの書かれた幾冊かの本も読んだ。残念柄、書架に遠山先生の著書はない。
 何故、先生の名前を覚えていたかというと、昔、朝日新聞夕刊学芸欄のコラム欄で先生の書かれた小文を読んからである。この小文がずっと私の記憶に残っていたのだ。ここに書かれたのは音楽の話ではない。なんと税金の話なのだ。

 ご自身の講演料や原稿料の確定申告の話で収入は支払調書を集計すれば済むのだが、経費の計算であれこれ心を煩わせるのが嫌なので専門家にお任せしているということが書かれていた。確かにこの種の所得の申告では必要経費の計算が悩みの種であろうと思う。あの本代が資料費で入れられないか。あのレコードの購入もあった。こうして欲を出せばきりがなくなるのだ。どんどん税金を払いたくないと考え出す。ご自身でかかわるとそういう心の葛藤に向き合うことになるので、それが嫌で専門家にお任せしているということであった。

 私はこのコラムを読んでなるほどと思った。そんなことで遠山先生とこの小文をよく覚えているのだ。
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