以前、NHKラジオ朗読の時間で水野広徳著作集「自伝 剣をとくまで」をmp3形式で録音して、丹沢大倉尾根の山道で聴いて深い感銘を受けました。水野広徳の著作集の中でも朗読の時間に取り上げられたのは、「自伝 剣をとくまで」の15回で第1次世界大戦中とその戦後に2回、私費留学をし欧州を視察した前後の話である。帰朝挨拶として海軍省に海軍大臣加藤友三郎大将を訪ね、「いかに戦争に勝つかではなく、いかに戦争を避けるかです」とのくだりではとりわけ深い感銘を受けました。戦前の陸軍通の高名な軍事記者とし「順逆の昭和史」、「昭和の将帥(回想の軍人、宰相)」の著者高宮太平がいますが、海軍の分野にもこういう方がおられたことはラジオの朗読を聴くまで知りませんでした。そんなことで朗読の2回分をご紹介します。

 水野広徳著作集「自伝 剣をとくまで」朗読 第1回

 水野広徳著作集「自伝 剣をとくまで」朗読 第14回

 最近、この音声データを整理していて、ついでにネットで水野広徳のことを読んでみました。昭和初期には大艦巨砲主義がすでに時代遅れとなり航空機の時代と成っていること、戦争がすでに総力戦の時代となっていること等を警告していたことを知りました。この時、愛媛新聞記事にヒットして驚いた。高宮汰平の「昭和の将帥(回想の軍人宰相たち)」は私は何度も読んでいますが、何時かご紹介したいものです。そんなことでこの小文を書きましたので皆さんにご紹介します。

愛媛新聞2013年01月21日(月)
官僚権力、戦前と類似 猪瀬都知事が松山で講演
 海軍出身の軍事評論家として反戦を訴えた水野広徳(1875〜1945年)について、東京都知事で作家の猪瀬直樹氏が20日、愛媛県松山市道後公園の子規記念博物館で講演。水野らが敗戦を予言したにもかかわらず、開戦を止められなかった太平洋戦争前の日本を「縦割りの官僚がそれぞれ勝手に動き、何も決められなかった。今と似た状況だった」と語った。
 水野広徳は松山市出身。日露戦争に出征後、1916年と19年に欧州留学して反戦論者に転向し、32年出版の「興亡の此一戦」で日米戦争の苦戦や東京大空襲を予言した。猪瀬氏は93年、水野を中心に描いた「黒船の世紀―ガイアツと日米未来戦記―」を出版している。


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