山のことあれこれ
車道を歩く
 山登りの行き帰りに時々運転する人のご好意で車に乗せていただくことが有る。こんなときは本当にうれしい。見知らぬ人の親切が身にしみる。いつもこんなことを当てにするわけには行かないので、バスを降りて登山口まで延延2時間も3時間も車道を歩くとなるとこういうところは敬遠してしまう。雨飾山も糸魚川から入るか小谷温泉から入るかいろいろガイドブックで検討した。初日に3,4時間車道を歩いても温泉に浸かり翌日即登山口に取り付けるなら糸魚川から入ったほうが良い。そんなことで糸魚川から山口まで40分バスに乗り、降りて登山口にある雨飾温泉まで4時間近く車道を歩いた。炎天下でバテ気味だった。少し木陰のあるとこで道端に腰を下ろして休み休み歩いた。次第次第に道は高度を上げる。振り返ると山口の集落が小さく見える。左手には海谷三山が大きな山容を見せ始める。時折、4W車が通過する。この奥には人家は無く雨飾温泉しか無いはずなのに立派な車道が何処までも続く。あの車は温泉に向かうのか。車の姿を見ないときは歩くのがあたりまえのことでとにかく歩く。しかし、車を見たとたんなんだか腹が立つ。何でこんな人家も無い山の中に舗装道路を作るのかと八つ当たり気味だ。
ふっと道端から水の音が聞こえる。斜面に小さな塩ビの管が差されていて水が出ている。有難し。車でただ走っていればこんな楽しみにも気が付くことは無いのだろうと思い気を取り直す。冷たい水にのどを潤しまた歩き出す。大きな音が聞こえ出す。こんどは大型ダンプが下ってくる。この道路の下を流れる谷川の砂防ダム工事か行われているようだ。どんな効果があるのだろうか。道路といい砂防ダムといい財政破綻もむべなるかなだ。近い将来消費税率のアップは避けられそうも無い。
 3時少し前に雨飾温泉に到着だ。4時間近く歩いただけに露天風呂にはいる楽しみもひとしおだ。「都忘れの湯」に浸かり手足を伸ばす。好い気分だ。今夜の宿泊者は6名だ。小谷温泉側よりは入山者は少ないようだ。車でくると山に登っても引き返さなければならない。雨飾山を越えて小谷温泉におりてまた露天風呂に入る楽しみがある。
下山口にある小谷温泉休憩舎から小谷温泉のバス停まで1時間強の車道歩きだ。休憩舎の前は駐車場で車で一杯だ。途中にある村営雨飾荘の露天風呂まで40分だ。歩け歩けだ。それにしても立派な車道だ。次から次に車が下って行く。昨日とは違って下り道となると足は軽い。やがて露天風呂無料駐車場の標識を見る。道路から少し石段を上がると露天風呂がある。上に女性用が見えるがヨシズ張りで勿論なかは見えない。ひと浴びだ。林間にあってなかなか風情がある。ザックを担いできて入浴しているのはいないようだ。風呂を出て脱衣所の前のコンクリ-トの上でザックを整理していると一緒に入浴していた若い方に声を掛けられる。蜂がぶんぶん飛んでましたねという。蜂、ブヨとそれだけ自然であると言うことだろう。さああと20分だと歩き出すとまもなく車がとまり先ほどの若い方が乗りませんかと声を掛けてくれる。言葉に甘えて大糸線南小谷駅まで乗せていただく。有難い。雨飾山は雨飾温泉から登り小谷温泉へくだるのがやはり正解だった。
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