山口正吾先生
 3,4年次の指導教授は山口正吾先生です。私は3年次にダッドレイデラードの「ジョン・メイナード・ケインズの経済学」とハンセンの「貨幣理論と財政政策」を読みました。この二書は背伸びをして原書も照らし合わせて読みました。ゼミの終わった後、先生に何度も何度も、質問に行きました。4年次に、クラインの「ケインズ革命」を読むべくお聞きしたところ、即座に「君たちは新制大学です。この書は天才の書いた本です。大学院で読んでください。」と言われました。現実的な経済問題のバックグラウンドを知る必要を説かれ、東洋経済に載っていた社説を読むことを勧められました。私が東洋経済を読むきっかけとなりました。当時、物価の問題がやかましく、先生に推薦された東洋経済から出ていた「日本の物価問題」(館竜一郎、小宮隆太郎、福岡正夫)という小冊子を読みました。入社試験の時とても役に立ちました。先生は中国から引き揚げられた後大学に来られまでの数年間、読売新聞の論説委員をされていたのです。大学の論集に載っていた先生の論文、正確な論文名は失念しましたが、「ドマーの成長理論と成長金融」について書かれたものなどは先生の面目躍如たるものがあったように思います。先生の金融論の授業はとても明快でした。ゼミでは学生の議論にはいつも「条件次第」というのが口癖でした。私は藤塚先生のように厳密に論理を積み上げる学問にはとても向かないと考え、こうしてジャーナリストの世界に憧れたのです。(未完)

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