山からの短信

1994年の記録

72.1994/1/2〜3蛭ガ岳

1994年の初山行きは蛭ガ岳だ。山荘に泊まり夜景を眺める。夜、山頂で見る光の海、満天の星、立ち枯れの樗のシルエットに感激する。 翌日、姫次ではカラ松林(神奈川美林50選)を背に蛭ガ岳、檜洞丸、大室山、南アルプス、檜洞丸の上に聳える真っ白な富士山、この一大パノラマを見て立ち去り難く一人佇む。 

73.1994/1/9塔ノ岳

久しぶりの塔ノ岳だ。山頂の工事の様子が「山と渓谷」’94年1月号に「今、危 機に立つ丹沢」として紹介されているので、どんな様子か覗きに行く。歩く人が多すぎて植生が回復する時間がないのか、表尾根や大倉尾根の惨状は目をお覆うばかりだ。今日は一日中、同年輩のアメリカ人と付き合う珍しい山歩きだ。 

74.1994/1/16石棚山

「西丹沢県民の森」から石棚山に登る。登るにつれて稜線は雪が多く、ここばかりは冬景色だ。箒沢公園橋に下る。バスは1時間以上もあるので、車道を歩き出す。途中、いつもはバスの車窓から見上げる箒杉を今日は立ち寄ってゆっくりと見る。樹高45m、胸高周囲12m、樹齢約2000年(推定)の大木だ。こんな大きな巨木には畏怖の念を禁じ得ない。人の思いは同じと見えて〆縄が回され自然への祈りの対象となっている。 

小休止.1994/1/23六郷コース

弁天橋から田園調布までの多摩川左岸の堤防上の11.1`が六郷コースとして整備されているが、このコースを歩く。今日は一番の冷え込みでまた風が強い。整備場駅から弁天橋、ガス橋と歩く。かかる単調で変化のないコースには閉口する。弁天橋からガス橋までのコースタイムはPedometerによれば次の通りだ。

   時間:1時間36分 距離:9.9` 時速:6.1q/時

75.1994/3/19〜20鍋割山、雨山、桧岳&高松山

高校卒業記念のお泊り会を我が家で行うとか。そんな娘のたっての頼みで土曜日はどうしても外泊しなければならない。念願の鍋割山荘に泊まり、翌日は鍋割山から尾根通しに雨山峠、雨山、桧岳、秦野峠、高松山、尺里(ヒサリと読む)まで歩く。心配した天気も何とかもち充実した2日間であった。 

76.1994/4/9〜10箱根(湯坂路・駒ケ岳・神山)

一日目は湯坂路(2時間半)を歩き小湧園のウイステリアンライフクラブに一泊する。二日目は駒ケ岳・神山(2時間半)と余裕を持って歩く。箱根には何回も来ているが、こんな風に箱根を歩くのは今回が始めてだ。山歩きの視点から見ると自然がことごとく破壊されているのに愕然とする。さびしい限りだ。駒ケ岳・神山周辺にのみわずかに残された原生林は貴重な宝だ。 

77.1994/4/29日影山(ブツシエ平)

新ハイ94年3月号に掲載されたコースガイド「丹沢の閑寂コース・・・日影山から秦野峠」を歩く。丹沢山域はすべて歩く意気込みだけに見逃せない。薮漕ぎあり、ルートファインデングありで、とにかく楽しめた。

78.1994/5/7〜8桧洞丸 大型連休最後の土曜日、日曜日を桧洞丸に遊ぶ。春の息吹は確実に来ている。バイケイソウが鮮やかな色を見せている。青ケ岳山荘での宿泊者は4人、小屋の主高城さんを囲んで9時近くまで自然談義だ。山もよし、人の触れ合いもよし。 

79.1994/5/22吾妻山・弘法山・権現山

’92年5月4日淳と正之を連れて歩いたコースに巧子を連れて行く。美味しいものを食べさせるということで出掛ける。新緑の山道を歩き、少し汗を流した後で「弘法の清水」で味噌汁を作り、おにぎりを食べる。これに優るご馳走がほかにあるだろうか。

80.1994/5/28〜29丹沢山&天王寺尾根

バカ尾根といわれる、大倉尾根を久しぶりに登る。9時56分に大倉を歩きだし、1時15分に山頂に到着する。花立を過ぎたあたりから稜線にミツバツツジの美しい花が見える。また、塔ノ岳から丹沢山の稜線は霧でブナが幻想的な美しいシルエットを見せる。翌日は天王寺尾根を歩く。前日とは打って変り晴れ上がりブナの新緑が美しい。林道に出てから宮が瀬までの長い歩きにうんざりする。

81.1994/6/4〜5雲取山

雲取山から始まった私の山行も80回を数えるにいたった。3年目を記念してY君と雲取山の代表的コース三峰口から登り、雲取山荘に一泊する。翌日、山頂を踏み、氷川までの長い石尾根を縦走する。

82.1994/6/11大山&東南稜

宮ケ瀬を歩くつもりで家を出る。ところが本厚木で電車を下りそこない、伊勢原で下車する。簡単に歩けるところと言えば大山だ。時間が無いのでケーブルを利用する。山頂は霧で何も見えない。エボシ山では今回も道を見失う。しばしうろうろするが薮を少しかき分けると踏み跡を発見する。この後、双耳峰の下からは新しい林道が作られ山道がずたずただ。大山東南稜もこれが最後か。 

83.1994/6/18書策新道&長尾尾根(境沢)

久しぶりに書策新道を歩き渋谷さんに会う。新大日から境沢を経て札掛に下る。境沢はなかなかの景観だ。沢を出てから丹沢ホームまでの林道は長い。さらにこの後の札掛からヤビツ峠までの長い車道歩きにはうんざりだ。ヤビツ峠から蓑毛まで山道を歩き息を吹き返す。

 84.1994/6/25〜26丹沢山&本間ノ頭

 丹沢三ツ峰の一つ、本間ノ頭から早戸川側に下る。丹沢観光センターから鳥屋まで長い林道を2時間50分をかけて歩く。歩くのは吾一人のみだ。車の多いのには驚くばかりだ。 

85.1994/7/2半原越

 坂尻から半原越を経て半原、三増まで歩く。半原越は仏果山と経ケ岳の稜線にある鞍部である。いつもは登りかえす中間点だが、ここを横断して見ようという変わった趣向だ。 

86.1994/7/23物見峠越

鷺沼グループ(Aさん、I君、S君)と、以前、2回ほど歩いたヤビツ峠、一ノ沢峠、物見峠を歩く。初心者なのでヤビツ峠から札掛までの車道歩きはタクシーを利用してカットする。その分、「東丹沢県民の森」の黒竜尾根を加え札掛のモミの大木を見る。このコースのハイライトである「一ノ沢考証林」で思いもかけないヒル騒動が起きる。

87.1994/8/4〜7白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)

南アルプスの代表的な縦走コースを歩く。大門沢降下点からは本当に長い。しかし、丹沢の神ノ川林道や、早戸川林道で鍛えられているのか余裕で歩く。下山した奈良田では予約もしていない旅館に無理矢理に厚かましく同宿をお願いして泊まり、何度も何度も温泉につかる。

88.1994/8/13〜14富士山

山で富士山に登った人に会うと一様に一度登れば充分と言う。山としてはあまり面白みはないそうだ。しかし、登らなければ大きなことは言えない。登ってみれば火山特有の岩石がごろごろしているばかりで、確かに変化はない。しかし、山頂からの眺望はやはり天下一だ。

89.1994/8/19〜20金峰山&瑞牆山

 I、Y両君と車を利用して、増富温泉から入山する。初日、富士見平小屋にザックをデポし瑞牆山に登る。巨岩の聳える景色はこれまで登ったどの山とも風景が違う。下山中、雨に見舞われる。翌日、金峰山に登る。さすが奥秩父の盟主だ。評判だけのことはある。砂払い頭から山頂までの巨岩の連なる稜線、千代の吹上げ、山頂近くに聳え立つ五丈岩と感嘆の声しきり。

90.1994/8/27〜28甲相国境尾根(東海自然歩道)

畦ケ丸避難小屋に一泊し、甲相国境尾根を山中湖平野まで歩く。展望はほとんどない。どこまでも続く緑のトンネルをひとりバテ気味に歩く。ピーク毎のベンチで一寝入りする。4時近くに平野に到着する。 

91. 1994/9/3世附川林道

丹沢湖から林道沿いに世附川を遡る。林道終点からは山道を辿り、切通峠に出る。ここから平野に下る予定を変更して、鉄砲木ノ頭から山中湖を眺め、三国峠に下り、帰りがけ(?)の駄賃とばかりに三国山に登る。私はこの帰りがけの駄賃というの が大好きだ。

 小休止.1994/9/11 多摩川のサイクリングコース

このコ−スをガス橋から六郷土手駅まで歩く。この後、電車を利用して鶴見まで出て、IBS石井スポーツでレインハットを買う。帰途は鶴見から第一京浜国道を歩き蒲田経由で下丸子まで歩いて帰る。こんな変哲のない道を歩くと言うのも、先日、小林敦宏著の「定年からの同行二人・・・・四国歩き遍路に何を見た」(PHP文庫)を読み、何時の日か四国八十八ヶ所巡りを果たしたいものだ、としきりに考えている。その小手試しとばかりに歩いて見たのだが、あまりの暑さに仲六郷の小公園のベンチで一眠りだ。 

小休止.1994/9/17

 朝から雨が降ったり止んだりで、鷺沼グループの山行きは中止だ。 とにかく休日ともなると足がむずむずして家でじっとしていられない。雨が止んだので歩き出す。コースは下丸子から千鳥町、池上を経由してJR大井町駅前で左折し、下神明駅で新幹線沿いに山王銀座に出る。馬込温泉で入浴する。入浴料は1200円也。風呂から出て大広間でビールを飲み、ざる蕎麦を食べる。外は雨が激しい。雨宿りで一寝入りだ。帰途、T君のマンションを訪ねて1時間近くお邪魔する。この後、大森から下丸子まで歩いて帰る。 

92.1994/10/2蓑毛周遊路

蓑毛から歩き出す時は春岳沢で小休止し、何故かしら寄り道もせずヤビツ峠に登ってしまう。今日は寝坊をして11時に家を出たのでこの近辺を歩いて見ようと言う訳だ。

 93.1994/10/8〜10甲斐駒ケ岳・仙丈ケ岳

 Y君と連休を利用して甲斐駒ケ岳・仙丈ケ岳に登る。2日間とも天気に恵まれ、長い間憧れていただけに山頂を踏んだ時には感激ひとしおであった。 

小休止.1994/10/16

鶴見のIBS石井スポーツに寄り登山靴の底張りを依頼する。その後、京浜急行で浦賀に行く。浦賀駅から歩きだし、海岸沿いに歩く。海辺の景色は新鮮な感じがする。観音崎を廻り、馬堀海岸を経て横須賀中央駅まで歩く。

94.1994/11/3〜4蛭ケ岳

 雨の中、玄倉林道を歩き、ユーシンロッジに泊まる。翌日は空が抜けたか思われるほどの青空だ。熊木沢から直登コースで蛭ケ岳に登る。山頂からは四周が見渡せる。桧洞丸の上に雪を頂いた富士山が顔を見せている。下山は東海自然歩道の平丸分岐(横山沢ノ頭)から平丸に降りる。 

95.1994/11/20仏果山

宮ケ瀬ビジターセンターに行く。ダム堰堤の最後のコンクリート打ちや、付替えられた道路がテレビで報じられたりで見学者がにわかに増える。2、3年後には芦の湖並みの湖が出現する。やがて湖底に沈む旧道を眺めながら複雑な気持ちだ。新設された新しい登山口から仏果山に登る。下山は経ケ岳への稜線から土山峠に下る。ダムが完成すればこの辺りは沢山のハイキングコースが整備されるだろう。

96.1994/12/18ヨモギ尾根

三ノ塔からは地図に記載が無いが、篤志家に歩かれているヨモギ尾根を歩く。最初から猛烈な薮漕ぎだ。ここを通過すると冬枯れの人ひとりいない閑寂境だ。大山北尾根、長尾尾根を眺めながら初冬の山歩きを満喫する。札掛からヤビツ峠までの車道を1時間も歩く。  



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