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「ビットコインはなぜ貨幣になり損ねたか」 週刊東洋経済誌2019/2/16号

「貨幣とは貨幣として使われているから貨幣である」

 現在、ビットコインが50万円だとして、この先どんどん値上がりして1年後に100万円になると考えていたら、投機資産としての価値はいくらでしょうか?100万円です。ということは、誰でも100万になるまでは持ち続けるはずで、50万円の支払いにビットコインを使いません。

 われわれが今持っている現金も暗号化してことは、中央銀行も認識しているはずです。ブロックチエ-ン技術やさまざまな暗号通貨の仕組みについて、それらの特性や問題点を研究しておく、そして、将来的にどのように中央銀行が関わっていくのかを考えておくことが重要です。

 1971年にアメリカが金とドルの交換停止を発表しました。・・・そのごどうなったか。 ドルは金と切り離されたものの、まさに自己循環論法の働きによって、基軸通貨であり続けているのです。

 大きなメリットを享受する一方、相応の責任も負う必要がある。世界経済の安定化を図ることです。ドルの供給を引き締めると、世界が不況に陥ります。過剰に供給されると、世界的なインフレになってしまう。そして、ドルの価値が極端に落ちると、自己循環論法が崩れ始めます。

 世界経済が不安定化しないように、米連邦準備制度理事会FRBは米ドルの価値を安定化させる義務があります。基軸通貨であるがゆえに、世界の中央銀行として役目を部分的に果たす必要があるのです。


 ユ-ロも人民元も、基軸通貨としての肩代わりは難しい。・・・・国際通貨は軸通貨とは違います。

 基軸通貨であるためには、自国だけでなく、世界経済の安定性も考えて金融政策を行わなければならない。

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 補足
 第2次世界大戦後半の1944年アメリカのブレトンウッズで戦後の国際金融通貨体制が協議されました。二つの案、アメリカのホアイト案とイギリリスのケインズ案を基に協議され、ホアイト案に近い内容で決定されました。ドルを世界の基軸通貨として、金1オンスを35USドルと定め、そのドルに対し各国通貨の交換比率を定めたのです。
 
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