★ 元政府税調会長石弘光先生の「平成経済の証言」全4回を読む 週刊東洋経済誌(2018/2/10号~2018/3/3号)
 週刊東洋経済誌に「平成経済の証言」と題する連載記事がある。現在、末期の癌治療を受けられているという石弘光先生の書かれた全4回を読み私のような一市井の老人でも深く考えさせられた。

第1回 政治生命を懸けるほど覚悟がいった消費増税(平成30/2/10号)

第2回 90年代の財政悪化を主導した宮沢喜一首相(平成30/2/17号)

第3回 小泉政権は増税から逃避 政府税調の凋落も顕著に(平成30/2/24号)

第4回 安倍政権なおもすがる「成長による税収増」神話(平成30/3/3号)

 学生の時読んだアメリカのケインジアンのハンセンは経済に景気を平準化する機能がビルトインされたということを論じていた。現実は好況期の税収増は全て使い、不況期には国債を発行(借金)をする。そんなことで「経済学」は単なる「経済学」ではなく、「政治経済学」でなければと考えるが、この連載を読んで間違いないと確信している。唐突にこんな事を書くと何のことやらと怪訝になられるかもしれない。機会をみて一文を書くつもりだ。

 この中に名前が挙げられた竹下登、宮沢喜一、小渕恵三、小泉純一郎、野田佳彦、安倍晋三の歴代首相は後世の経済史家からどう評価されるのであろうか考えた。こんな程度の政治家達だとすると寂しい限りだ。

 「ほかの先進国は消費税を意外とすんなりと上げられている。英国もドイツもそう。やはり国民が増税の必要性を正しく認識できていることが大きい。自分たちが税金を払わないと国が成り立たないことがわかっている。だから福祉を大事にしたければ税負担するのが当然となるのだろう。」(文中からの引用)

 それにしても、政治家といい、国民といい、・・・・・私のような一市井の老人が歎いても始まらないがと複雑な気分となった。

 私はある研究会に参加させていただいている。2/17の会のテ-マは「不安な個人、立ちすくむ国家」でお話を頂くのは経産省の若手官僚だ。多くの庶民は五輪後が大変だと予期している。政治がこのていたらくでは絶望的な気分となる。二次会の席で幹事のT氏が、席の端にいる方に消費税の増税の可否を問われた。彼は消費税増税自体には異議はないが、その前にやること(歳出の削減か)があるという返事であった。内閣府が試算する「財政推計」も粉飾に手を染めつつあるという、東洋経済オンライン版を読むと、現下の日本経済はその議論の段階を越え、崖っぷちにあるのだ考える。(2018/3/1記)
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