東洋経済オンライン版で斉藤 誠一橋大学教授の寄稿「消費増税「再延期」をするべきではない理由・・・経済学的に見た、正しい消費増税の考え方」(2016年5月12日)を読む
 新聞の世論調査では50%近くの国民が消費税増税の延期に賛成しているようです。これは景気の中折れに対する不安やらアベノミックスにたいする期待があると思われます。

 経済が成長すれば増税は必要ないというのはどうも無理があるようです。また、金融政策も異次元緩和という200兆円以上の国債を買い上げるという買いオペを行い、効果がないとなとマイナス金利という異例な金利政策を実施しています。これらの問題に斉藤教授はわかり易く説明をしています。斉藤教授は週刊東洋経済に時折寄稿されていますが、現在の名目経済成長率3%には懐疑的です。この寄稿でも名目GDP成長率<名目金利水準がマクロ経済の定常状態と主張されている。日銀の支払準備率を超える当座預金で買いオペが行われており、通貨発行収入が通貨発行支出に転換するのもそう遠くない時点と危惧されている。こうした様々な経済学的な理由から消費税増税再延期に反対されている。

 ところでイギリス経済は第一次世界大戦前から100年近くにわたって「デフレと失業」に苦しみました。何度も何度も改革に取りかかるのですが、そのたびに挫折してしまいます。最後の機会にサッチャーが登場します。保守党大会で彼女は、「私は女ですから殿方のように後ろをふりかえることはありません。」といって改革に乗り出しました。イギリスの市井の老人や老婆達が、こうい時はこういう人に任せなければだめだと父や母達が云っていた、というエピソードを「大英帝国衰退史」(中西輝政著)を読んだときは流石はイギリス国民と感心しました。もっとも改革は大変な痛みを伴います。以前、「サッチャー下のイギリス経済」(森嶋通夫著)を読みましたが、厳しいサッチャー批判でしたし、サッチャーが亡くなった時の名前は失念しましたが有名な映画監督のサッチャー批判も厳しいものでした。こうした改革のもつ一面を物語るものといえるのでしょう。こうして私は現下の日本の置かれている状況は一刻の猶予も許されないものと考えます。増税は多くの国民にとって、出来れば避けて通りたいものでしょうが、そうはいかないのが現実です。遅れれば遅れるほどその付けは大きくなると思います。
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