★ 「中国大停滞」を書いた田中直毅氏(国際公共政策研究センター理事長)に聞く、というインタビューを読む(週刊東洋経済4/23号Books Trends欄) |
中国の現状については次のように述べられている。 積み重なる過剰生産能力、不良債権、金融リスクの解消プロセスについて共産党の指導層は明確な具体策は持ち合わせていない また投資主導型から消費主導型への経済転換、イノベーション、都市化による経済発展を軸とする習近平改革が、「新常態」への移行に結びつくことはないだろう 「結社の自由を認めず、市場の働きを理解しない指導者層の下では、発展の芽が押し潰されると言う基本的な限界がある こうした現状に対して次の3点が指摘されている 1.中国の経済政策が何を目指しているのかよくわからない 2.諸外国からの呼び寄せ、つまり招集能力が著しくて低下している。具体的に言えば南シナ海が最大の問題で、中国の国際秩序を見下したやり方に対して寄り添うことは難しいと考える近隣諸国が増えている 3.ここまでやるのかという人権抑圧、大幅な表現の自由の制限は経済の安定性を損なう可能性がある この結果として、中国に直接投資を行う、あるいは本格的な営業の基盤を作るという際に人権抑圧がこんなに軽々しく行われているなら、いずれ問題が噴出する可能性があり、これでは長期的な投資は二の足を踏まざるを得ない こういう論拠から田中氏は、現在の中国の抱える問題は長期にわたる停滞への入り口に過ぎないと言う 習近平と清朝雍正帝との資質の類似性に話は及ぶ。この当否は別としても中国の歴史とか社会基盤にまで見据えた分析が大事だという主張には異論はない。 今週号には中国動態「強権政治に不満のマグマ 習近平は裸の王様なのか」(小原凡司)のレポートが掲載されているので、併せてご一読ください。('16/4/17記 |
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