★ 東洋経済で政治学者御厨 貴先生と経済学者野口悠紀雄先生の対談を読む
  私は満州奉天(中国遼寧省瀋陽市)で生まれ、敗戦の翌年、北海道に母と弟の三人で引き揚げました。そんな体験があって中学生の時、父の勤務する学校の図書を借り出して満蒙開拓団の悲惨な記録を読んだときは怒りで体が熱くなったことは今でも忘れらません。私のこういう体験がいまも、何故、日本がああいう無謀な戦争を始めてしまったのかを知りたくて日本近現代史への読書に駆り立てられるのです。

 最近、東洋経済誌で御厨貴東大名誉教授が、野口悠紀雄先生との対談で「一つ懸念があるのは若い世代の考え方の変化で、安倍首相の靖国神社参拝に対する諸外国の批判は当たらないという学生は東大でも増えつつあります。歴史的経緯を教えても彼らは納得しません。90年代生まれには、靖国問題に中韓が介入してくることを感情的に受け入れられないうけいこうが強い。」(週刊東洋経済1/17号)と言っておられます。
こういう現在の日本の社会に対し、とりわけ近現代史に対する無知を指摘する声は外国からも聞こえてきます。

「今の日本人に必要なのは、もういちど1920年代、30年代、そして戦争の時代へと、日本の政治がどういう軌跡をたどったか学び直すことではないでしょうか。近現代史は微妙な問題だからという理由で、学校でもちゃんと教えていない。その結果、過去に起きたことについて、今の日本人は驚くほど知識がない。これは非常に危険であり、望ましくないことだと思っています」(アーサー・ストックウィン・オックスフォード大名誉教授)

 戦後70年、黒柳美恵子さんの悲しい体験が大勢の日本人に伝えられることはとても貴重です。若い世代の人たちが、この100年の日本の歴史の「光と影」を虚心坦懐に学ばれることを願うばかりです。

 注 黒柳美恵子さん(母校雪高の先輩、同窓会のHPを担当したことがご縁で懇意にしていただきました。長野に疎開するとき、高尾近辺で米軍機の機銃掃射でお姉さんを亡くしました)
 戻る