★「評論家の松本健一さん死去 近代日本の精神史を考察」朝日新聞(’14/11/28)を読む
  「日本近代思想の研究で知られる評論家で麗沢大教授の松本健一(まつもと・けんいち)さんが27日、死去した。68歳だった。
 群馬県出身。東大経済学部卒業後、会社勤めを経て、法政大大学院時代に書いた「若き北一輝」(1971年)で注目される。以後、右派左派のイデオロギーにとらわれず、近代日本の精神史を考察し、多数の著作を残した。
 33年かけて完成させた「評伝北一輝」(全5巻)ではファシストといったレッテルを排して、近代日本が生んだ特異な革命家の実像に迫り、司馬遼太郎賞、毎日出版文化賞を受けた。また「日本の失敗」では、第2次大戦を中国への侵略の延長ととらえ、日本が敗戦へと至った経緯を追った。冷戦終結後に勃興したナショナリズムについても論じた。 民主党政権時には内閣官房参与も務めた。主な著作に「大川周明」「近代アジア精神史の試み」など。」

 松本健一氏の「日本の失敗」は読んでいる。1915年第一次大戦中に中国に突きつけた「対華21ケ条の要求」を日本の失敗の第1に挙げる。かの松岡洋右もベルサイユ講和条約全権団の一員(報道係主任)として同行したが、帰国後、主席代表の牧野伸顕泊に、手紙でこの「対華21条の要求」は「論弁すればするほど不利」とパリでの欧米各国の日本に対する厳しい態度を知らせている。私も日本近現代史を読めば読むほどこの「日本の失敗」を痛切に感じる。('14/11/28記)
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