「21世紀の資本論」の著者であるフランスの経済学者トマ・ピケテイ教授のインタビュー記事を読む
(Thomas Piketty著 Capital in the Twenty-First Century)
  「現代のマルクス。ロックスターのようなエコノミスト。そんなふうに突然もてはやされるようになった経済学者がいる。パリ経済学校のトマ・ピケテイ教授。マルクスの「資本論」の向こうを張ったような名前の新著がこの春英訳されるや、米国を中心にベストセラーに。経済的不平等の拡大を悲観的に描いた彼は、どこに希望を見いだすのか。

 米欧での300年にわたる租税資料を分析し、1914~70年代を例外として、資本の集中と経済的不平等が常に進んでいることを示した。マルクスが19世紀に予言したような資本家と労働者の激しい階級対立が起きず、資本主義のもとで不平等が縮小するかに見えたのは、二つの.世界大戦と世界恐慌がもたらした偶然に過ぎないと指摘。貧富の差が激しかった19~20世紀初頭に戻る可能性にすら言及している。600ページを越える大部だが、数式を抑えた記述、バルザックなど文学作品の引用などもあいまって人気だ。ノーベル賞経済学者のクル-グマン氏は書評で絶賛し、「ピケテイは我々の経済的論議を一変させた」と述べた。

「ここ数十年の間で、二つの非常に大きな変化が起きています。
 一つは米国でとくに目立つことですが、上級の企業幹部の収入が急上昇しています。米国では今、全所得の約50%が上位10%の人たちに渡っています。
 もう一つの方がさらに重要ですが、生産設備や金融資産、不動産といった資産の蓄積が進んでいます。こうした資産が、その国の1年の経済活動を示す国内総生産(GDP)の何倍あるかを見て下さい。1970年時点では欧州では2~3倍でした。それが今は5~6倍になっており、国によっては6~7倍になっています。」(抜粋)

 これらの問題を市場は解決できないとして、ピケテイ教授は資産に対する1%から10%の課税、所得に対する累進課税を提案します。しかし、この政策提案に関しては日経新聞電子版で読んだ英エコノミスト誌の書評はなかなか手厳しいものがあります。一国だけでも難しいのに国際的な協調などは不可能ということでしょう。それでもここに経済学者への根源的な問いかけ(「冷静な頭脳と温かい心」でこういう難問にどう立ち向かうのかという)があるようにおもわれます。

 事務所で暇なのでこの記事を書き写しながらわくわくした気分で読んでいる。ネットで関連した記事を読んでいると「左派を狂喜させ、右派を激怒させる」とあるとおり、反響の大きさに驚く。私はまだ血の気が多いのか、漱石や鴎外よりこういう記事を読むと血が沸き肉が躍る。翻訳はまだのようだが、翻訳が出ればKINDLEで大きなフオントで読めればとつくづく思う。(’14/6/18記)(’14/6/28加筆)
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