最近の山歩き

234.2000/5/4〜6 丹沢漫遊

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下丸子を始発で出ても藤野到着は7時を回る。駅前のタクシ−乗り場にはタクシ−の姿がない。駅前のお店でおばさんに聞くと8時にならないと来ないので直接藤野タクシ−に行く事を勧められる。駅から2,3分のところだ。運転手さんが洗車をしている。料金は神の川ヒュッテまで5,6千円だそうだ。早速にお願いする。以前に聞いた神の川ヒュッテの山崎さんの話ではバブルの頃は林道に入るのを嫌がって断っていたそうだが最近ではそうもいかなくなったのだろう。年に数回の利用ならマイカ‐より安いのかもしれない。

神の川ヒュッテに到着だ。神の川キャンプ場前バス停から歩けば2時間30分前後かかるところを8時に来れるとなると皆さん車の利用が多いわけだ。休憩舎の前にはすでに5,6台車が駐車しているし、林間には数張り大型テントがみえる。山崎さんから小屋の常連の原さんを紹介される。この小屋の泊りは初めてだ。いつも帰りがけに立ち寄っては沢庵とお茶をご馳走になる。今日はここに泊れば念願の日陰沢新道を利用できるし、明日は余裕で再度地蔵新道を登れるという訳だ。 小屋にザックをデポしてサブザックで出発だ。犬越路に向かう道の手前の小屋の下から沢を渡って日陰沢新道に取り付く。この道を歩くのが今回のメインテ−マの一つだ。人影はない。次第次第に高度を上げる。やがて上の斜面に人がみえる。次第に追いつく。なんと10人近くのパ‐ティ‐だ。遅いですからと道を譲られる。やがて尾根にでた。このあたりから鐘撞山へ延びる尾根が続いているはずなのだがわからない。休憩していると若い人3人に追い抜かれる。 やがて大室山山頂だ。結構人が多い。おもいおもいの場所で皆さん食事だ。これまで何回か登ってはいるがいつも人は少なかった。さすが5月の連休だ。帰途は犬越路を廻る道を取る。この道はやはり見通しは良い。途中、満開のマメ桜を見る。犬越路の避難小屋の横に出る。5月の連休ともなると家族連れで子どもの姿が多い。さほど疲れているわけではないが今夜は泊りだ。ここで時間調整だ。そんなことから避難小屋の板の間で賑やかな子ども達の声を子守唄に一眠りだ。
神の川ヒュッテに戻る。今朝会ったHさんご夫婦とあと一組のご夫婦の4人で小屋の前に敷物を広げてバ−ベキュ−を楽しんでいる。招じられて御馳走になる。今日は山崎さんの奥さんも来られている。この後、夕食まで土間のスト−ブを囲んで皆さんで四方山話だ。別棟の自炊小屋には12,3人、食事付のこの棟には8名だ。連休でこの人数だからこういう下の小屋に泊まるのが正解のようだ。たぶん上の小屋はどの小屋も布団一枚に2、3人詰め込まれているのだろう。夕食は小屋の山菜のてんぷらのほか、全員, 常連のIさんが持参した伊奈牛の炭火焼の御馳走になる。缶ビ−ルを飲んで和気あいあいの話し合いだ。食事の後は歌詞カ−ドが配られ歌だ。皆さんは歌声喫茶の世代のようで「カチュ−シャ」だ「北上夜曲」だと感傷的な歌ばかりで何だか背中がこそばゆい。ただどの小屋もこういう常連で支えられている。

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階下の物音で目がさめる。熟睡できたが、向かい側の中年女性2人が床の中で4時半頃から大きな声で話している。文句を云うわけにもいかず常識のない人達には困ったものだ。朝食を食べていよいよ出発だ。6時前に出発となると今日の行程は楽だ。お天気は良いし睡眠も十分で言う事なしだ。 5時50分に山崎さんに見送られて歩きだす。やがて同宿のご夫婦に追いつく。東海道自然歩道入り口に来る。ここの標識の前で同宿のご夫婦の写真のシャッタ−を押してあげる。このご夫婦は昨夜の話では東海道自然歩道を歩かれているようだ。何か目標がないと趣味も長くは続かない。二人を見送っていよいよ人影のない道を歩き出す。やがて広河原に着く。ここは道が大きくカ−ブするところで川は二つの流れが合流するところだ。文字通り広い河原でお決まりの堰堤が何段にも造られている。堰堤を鉄製の足場を使って河原に降りて、対岸に渡る。小さな枝沢を歩き出す。地蔵新道の標識を2箇所で見る。やがて地蔵新道取付き口に着く。沢の右岸の斜面に地蔵新道の標識を見る。この標識がなければどこが取り付き口か分らない。ここで一息いれる。とにかく最初は急なのぼりの連続だ。ここが一番の難所だ。馬酔木と書かれた標識のある地点に到着だ。ここからは典型的な尾根歩きだ。前回歩いたときに見た「胸突き八丁」の標識を見落としたようだ。登りは問題ないがくだりに使う場合ここが最大の難所だろう。とはいっても一度登りに使えばさほどのことはなかろう。 昔の造林小屋の跡をみる。ここから少し登った地点で休憩だ。お天気も良いし時間もありあたりを眺めながらのんびりする。ひとっこ一人居ない尾根でのんびり時間を過ごす。二度目となると余裕だ。 いよいよこの地蔵尾根の核心部の通過だ。剣の峰の標識を見る。藤野山岳会の戸山さん達の遊び心だ。続いて「剣の刃渡り」だ。上にトラのロ−プが渡されていて安全に通過だ。やがて第4峰という標識が木の根元に置かれている。これは意外と標識だけの簡単なものだ。前回見た第3峰五葉松の峰を見落としたようだ。この区間は小ピ−クが連続して巻いたり登ったりで見落としたのだ。いよいよ急な登りだ。登りきれば第5峰八方睨の峰に出る。ここからは今朝通過した白いトラスト型の桧皮橋が遠望出来る。ここが一番の展望地点だ。西には桧洞丸と熊笹の峰が連なり双耳峰となっている。 熊笹の峰からはストンと稜線が落ちている。あの辺りは何度も歩いているがこうして遠くから眺めるのも一興だ。塔の岳から見ると熊笹の峰が後になり独立峰の趣だが見る位置で山の姿が高も変わるものか。ここからひと登りでタコの松と標識のある地点に到着だ。これは文字通り松が何本にも枝分かれをしていて良くぞ名付けたものだ。ここから地蔵平は目の前だ。やがて山頂に出る。休憩もそこそこに縦走路入口に向かう。下の縦走路に蛭が岳からくだって来る登山者が見える。地蔵新道のような道を歩くのは相当な物好きしかいなそうだ。新ハイキング誌にこの登山道のガイド記事を書いて投稿したが、未だ雑誌には載らない。なんとかもうすこし知られてもよさそうだ。途中に見た板切れの標識になんとかこの道を世に出したいという藤野山岳会のTさん達の熱意を感じた。9時45分縦走路に出る。 さすが丹沢の主脈だ。次から次と蛭が岳からくだって来る人に会いだす。大倉尾根から塔の岳、丹沢山、蛭が岳、焼山と連なる稜線を丹沢主脈というが、丹沢の銀座通りだ。先ほど地蔵尾根での静寂がうそのようだ。
蛭が岳直下ベンチで一息いれて、一気に蛭が岳山頂だ。山荘を覗くと中は暗い。お手伝いの若い女性が来る。杉本さんは明日登ってくるという。本間さんは朝が早いので休んでいるようだ。杉本さんには昨年駅まで送ってもらったことがあり、よろしくとの伝言を託して出発だ。 この後は鬼の岩、棚沢の頭、不動の峰と順調に歩く。お天気もよいし稜線漫遊の趣がある。やがて丹沢山だ。ここまでくればやれやれだ。竜が馬場、日高と足が速くなる。やがて塔の岳山頂だ。山頂は人で一杯だ。尊仏山荘に入っていつものようにコ−ヒ−を飲む。小屋番のOさんに今日はどこって聞かれる。神の川ヒュッテに泊り、地蔵新道を登ったことを話す。地蔵新道と聞いて怪訝な顔をしている。地図にも未だ載っていない道だ。ある程度山慣れた人向きではある。小屋は入れ代わり立ち代わりだ。お手伝いの人も多い。ここも今夜は満員のことだろう。 木の又小屋に向かう。表尾根をどんどん登ってくる。やがて木の又小屋だ。M、Y、Tさん小屋に連泊して屋根と外壁のペンキ塗りをしたそうだ。ご苦労さん。Tさんは山に登らず屋根に登ってましたと冗談を言っている。中森さんの話しでは昨夜は20名だったそうだ。山頂から30分も下がれば泊る人もこんなに少なくなる。夜はスト−ブを囲んで皆さんで山の話しだ。今夜の宿泊者は単独組2人、中年女性3人組、ご夫婦一組にM、T、Yさんと10名だ。この小屋はサロンの趣で何度も泊まる人が多い。かく云う私も行くところが無くなるとこの小屋に泊まってくだを巻いている。中年女性3人組の明日の行程の相談に乗る。食料が足りなそうなのでスアマ4個と豆大福2個を差し入れだ。まだ休みがあるので場合によればもう一泊してよいと考えていたが7日はお寺だ。明日は帰ったほうがよさそうだ。

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皆さん出発された。今日は帰るだけとなるとのんびりと小屋を出る。巧子は千葉の姉とどこかに出掛けるとかいって言っていた。そんなこで4時頃まで帰ればいい。昨日とはうってかわってガスが出て展望がないうえ風が冷たい。三日目となると何も考えることはない。だだ無心に歩いている。新大日、行者岳、烏尾山、三の塔と休憩もなくドンドン歩いてきた。三の塔から牛首経由で大倉におりる。植林地の長いくだりだ。いろいろな思いが浮んでは消える。とにかく明日はお寺にお参りだ。大倉では地元農家の即売所が出ている。ザックに詰め込めるだけ野菜を買ってお土産だ。まるで買出しだ。


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