山からの短信

丹沢三ツ峰

(白山書房ホ−ムペ−ジ「山に行ってきました」に投稿する。

春の木丸周辺を歩く

年末に塔の岳の尊仏山荘に一泊して翌日丹沢三ツ峰を歩いた。太礼の頭の手前で同宿の若い男性を追い抜いただけで誰一人会わない静かな山歩きだった。御殿の森を通過してしばらく歩くと登山道の左手にある柵の入り口が開いている。春の木丸への道だ。こっちだと呼んでいるような感じだ。だがあいにく2万5千図は持って来ていない。持っているのは丹沢4万図だ。これでは役には立つまい。しかしこうなると帰りがけの駄賃だ。広辞苑には行き掛けの駄賃という言葉はあるが帰り掛けの駄賃という言葉はない。以前、山の雑誌でこの帰り掛けの駄賃という言葉を見てから妙に頭に残っている。山から帰るとき時間が早い場合は寄り道をしてもう一つ山をこなすことをいうそうだ。私のような貧乏性の人間には午前中の早い時間にすんなりと帰る気にはならない。折角来たのだからおまけにどこかというわけだ。そんなことからこの帰りがけの駄賃と言うのが気に入っている。96年5月に歩いたが何処が春の木丸かわからないまま尾根を直進して林道におりた。おりたと云ってもコンクリ−トの壁の上に出て、見下ろせば下に林道がある。やっとこさっとこ回り込んで林道におりたというわけだ。おまけにここがどこか位置が分からない。とにかく右だとばかり林道を歩いてトンネルを通過した。あっと驚いた。宮が瀬の水の郷地区の三叉路に出たのだ。今日はどうであろうか。早い時間だけにいよいよ分からなくなれば戻ればいい。気持は楽だ。直進して少しくだり出すと柵にあたる。どうもこの道ではない。引き返して来ると左手の木に古いビニ-ルテ−プを見る。やれやれだ。今度はこの斜面を下る。山は登るのは比較的容易だが、くだる時は尾根を見分けるのがなかなか難しいのだ。ただ少しくだればはっきりはする。ここもそうだ。やがて鞍部だ。右手に踏み跡が続いている。後から考えるとここを登ったところが春の木丸の山頂だったのだろう。道は明瞭だしこの先はどうなっているのか興味しんしんでどんどん歩く。東から北に、尾根の一本道でやがて左手の枝の切れ間から宮が瀬湖が見え出す。もう間違いない。どこにおりるのか。自動車の音が聞こえ出す。木の間を通して道路が見える。間もなくこの尾根は行き止まりとなり左右におりた跡がある。尾根の左手の斜面からおりる。中州におりたような感じだ。この尾根の左右に広い沢が広がって湖が増水すればこの辺り一帯は水があがってくるのであろう。さてどうして上の車道にあがるか。とにかく橋の下まで行く。なんと左手に階段の手すりが見えるではないか。やれやれだ。階段をある。橋の袂には立ち入り禁止のバリケ‐ドがある。橋の名前は「おいざわ」とある。道路に出て左手を見れば先に春の木丸トンネルが見える。どうもまた違ったところに出たようだ。宮が瀬ビジタ‐センタ‐のバス停に1時30分到着だ。あたりは年末で閑散としている。こうなるとこの春の木丸あたりの一帯をしばらく歩かなければならない。歩き尽くしたと思う丹沢でもまだまだ楽しみは沢山ある。


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