山歩きの案内

地蔵新道、蛭ケ岳、源蔵新道と周遊する
檜洞丸から蛭ガ岳間の縦走路で金山谷乗越の手前のピークに源蔵新道の標識がある。歩いて見たいと思っても神ノ川バス停まで林道を4時間近くも歩くことを考えるとついつい通過してしまう。というのもこれまで犬越路、熊笹ノ峰、風巻の頭からと3度神ノ川林道におりて神ノ川バス停までの長く単調な道をやけくそ気味に歩いた。そんなことからこの林道を登りに使うことは敬遠していた。しかし、最近、広河原から地蔵新道が神ノ川ヒュッテの関係者の尽力で開拓されたこと知り、また一部の地図(ゼンリン版)に地蔵新道が載っているとなると赤線病の重症患者としてはいてもたってもいられない。そんなことで地蔵新道、蛭ガ岳、源蔵新道と周遊する計画を立てたが、職場の後輩の突然の不幸やらアプローチの便やらで延び延びになっていた。今回、木の又小屋で知り合ったZさんが車を出して同行してくれるとのことで、早速、10月23日24日と歩いた。

第1日目

   9時20分神ノ川ヒュッテの前に到着する。あたりは小公園の趣で道路から一段上に公衆トイレがあり出発前に利用させてもらう。この前にはちょっとした空き地があるのでここに車を置いて、9時30分ゲートの脇から林道に入り歩き出す。林道とはいっても立派な舗装道だ。ゲートから10分も歩けば道路の右側に水場がある。この後、トンネルを二つ通過して道なりに歩くと、やがて大きなトラスト形のさわんど橋を通過する。この先で林道が大きく右にカーブする地点に到着する。歩き出して40分、準備体操にちょうど良い。ここが地蔵新道、源蔵新道の出発点となる広河原だ。文字通り広い河原で、ここからは堰堤が4段見える。ここに地蔵新道、源蔵新道の案内板がある。地蔵新道の標識は右岸を指し、ここからすこし上手に源造(蔵)新道を指す標識がある。斜面を降りて河原を右岸に渡り、右手の枝沢に入る。大きな石がごろごろした沢である。途中、右手の木の枝に地蔵尾根の標識を見る。ここはとにかく左岸沿いに大きな石を伝い歩く。左が岩水沢で右が小谷だ。小谷はやがて行き止まりとなる。この先の滝が広河原の案内板に記載されている魚止ノ滝だ。右岸の切り立った壁に小さな流れが幾筋か落ちている。見上げると地蔵尾根の標識があり、ロープが見える。標識がなければどこから取り付くのか分らない。水場はここが最後なので補給をしておく。いよいよ右岸の登り口に取り付く。ロープを頼りに、斜面にそっていきなりの急登だ。この後、とにかくザレタ斜面をジグザグに登る。適度な間隔でエフがあり、要所要所にはロープも張られている。注意をして踏み跡をたどれば問題はない。。やがて胸突八丁目と表記された標識の有るテラス状の地点に出る。ここから5分も登ると尾根上に出る。ここに馬酔木(左剣ノ峰右広河原35分)と表記された標識が有る。ここからは左に延びるゆるやかな尾根を辿る。途中、空の一升ビンが何本も放置されている地点を通過する。かなり太い鉄索も見る。このあたりがかっての営林署の造林小屋の跡か。開けた地点に出る。やがて尾根が落ち込んでいる。小キレットだ。ここは尾根の右側に回りこんで通過する。ロープも有るので注意しておりる。見上げれば「カニの横ばい」なる標識が有る。尾根上に戻り登ると第3峰五葉松ノ峰と標識の有る地点に出る。なるほどこのあたりは松が多い。第1峰、第2峰は先ほど巻いたピークか。もう一度登って確かめたたいが今回はパスだ。また小キレットだ。今度は尾根の左側を巻き尾根にあがる。やがて第5峰八方睨と標識の有る地点に出る。とすると先ほど巻いたどれかのピープが第4蜂か。ここから先ほど通過したトラスト形のさわんど橋が眼下に見える。やがて「タコの松」と標識の有る松を通過すると2、3分で分地蔵岳の山頂に出る。地蔵平といったほうが良いかもしれない。広い平地で一帯は疎林だ。おまけに草もなく、こんなに丹沢が病んでいるかと思うと悲しい。温暖化とか酸性雨とか鹿の食害とかによるのであろうか。この地点で地蔵尾根上級者向きの標識を見る。尾根を辿ればやがて左手下に縦走路が見える。5分くらいで縦走路に出る。ここの木の幹に「地蔵尾根上級者向き」の標識がある。この後は縦走路を歩き蛭ガ岳山頂に到着だ。

第2日目

   6時45分山荘を出発する。縦走路を歩くので格別の問題はない。ミカゲ沢の頭から白いトラスト形のさわんど橋が望見できる。臼ガ岳山頂に到着だ。ベンチで小休止をしていると前後して蛭ガ岳山荘の宿泊組みが続々到着だ。金山谷乗越から2、3分で源蔵新道の入り口に到着だ。源蔵新道広河原1時間30分の標識を見る。最初は急なくだりだ。次いで痩せた尾根となる。右側は広く開けた金山谷で切り立った痩せ尾根だがこの左側をロープを伝って注意をして通過する。蛭ガ岳が金山谷越に大きな姿を見せる地点に出る。ここから見る蛭が岳は圧巻だ。尾根が左にも延びているが、ここは右手の尾根だ。やがてこの尾根から鞍部に下りる。ここに標識がある。2万5千図上で1224bとある尾根のピークに向かう。ここらあたりが源蔵尾根で一番注意をした地点だ。ここさえ間違えなければ問題はない。ただエフもあるし、踏み跡も有るので間違えることはないと思う。この後は良く踏まれた道でなんだか新道とはそぐわないような印象を受ける。やがて開けた地点に出る。くだるにつれて植林地だ。ただあまり手入れはされていないようだ。木の背丈もあまり高くない。道の様子か判断するとどうもこの道は古くからの仕事道のようだ。沢の音が右手から聞こえる。10時55分登山口に到着する。ここで佐藤新道の標識を見る。源蔵新道は佐藤新道ともいうようだ。ここで河原を渡り左岸にでる。源造(蔵)新道の標識を見る。昨日の出発点に戻った。林道を歩きゲートに到着する。神ノ川ヒュッテに立ち寄り山崎さんに報告して帰途につく。

  地蔵新道も源蔵新道もとにかく楽しめる。地蔵新道は要所要所に剣の峰、剣の刃渡り、カニの横ばい、五葉松の峰、八方睨と記された標識がありとにかく楽しめる。上級者向けとあるように登りに使い時間に余裕を持って登る必要はあると思う。源蔵新道は縦走路からくだって25分くらいで金山谷越しに蛭ケ岳が大きく見える地点があり圧巻であった。写真を撮る人には見逃せないポイントではないだろうか。格別危険な所もなくお勧めのコースだ。ただ残念なのは車の利用が前提であることだ。これは神ノ川流域一帯の問題だが神ノ川バス停か東野バス停から神ノ川ヒュッテまで土曜日、日曜日に朝1便、夕方1便でも車の利用ができればと思う。何をやるにも規制、規制の日本社会では無理な話かもしれない。交通政策の経済学者が日本のバス会社、タクシー会社は運輸省の規制、規制で知恵も工夫も無くなったと書いていたが本当の話だと実感できる。最後にこんな楽しいルートを整備していただいた神ノ川ヒュッテの皆さんに心から謝辞をささげます。

コースタイム

第1日目:神ノ川林道ゲート(12分)水場(30分)広河原(25分)取付き口(40分)胸突八丁目(5分)馬酔木(35分)剣の峰(?)剣の刃渡り(?)第3峰五葉松ノ峰(35分)(?)第4峰(?)第5峰八方睨(30分)タコの松(3分)地蔵岳(5分)縦走路(1時間)蛭ケ岳山頂

第2日目:蛭ケ岳山頂(1時間)臼が岳(1時間)金山谷乘越(3分)源蔵新道入口(20分)蛭ケ岳展望地(50分)登山口(45分)神ノ川林道ゲート

地図(2万5千図中川、大山)


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