山歩き案内

丹沢表尾根三ノ塔を周遊する
私の場合、登山道はもっぱら登りに使う道とくだりに使う道の2種類に分けられる。決める要因はアプローチの便、標高差等いろいろあるが、今のところはアプローチの便が大きな決定要因となる。車を持っていないので車道を2時間、3時間と歩いて取り付く道はなんとなく避けてしまう。表丹沢に限っていえば札掛を起点とする長尾尾根、ヨモギ尾根、大山北尾根はくだり専用となる。木ノ又小屋に一泊する時、政次郎尾根、書策新道、烏尾山、三ノ塔、二ノ塔をくだりに使うと午前中か午後一番には帰り着いて、歩き足りない。そこで長尾尾根、ヨモギ尾根を使って札掛にくだり、一ノ沢峠、物見峠を越えて煤ヶ谷からバスで厚木というのが私のお決まりのコースだ。 この1月に木ノ叉小屋の常連のFさんの車に同乗させてもらい札掛に車を置いて長尾尾根、新大日と歩き、木ノ叉小屋に泊まった。翌日、表尾根をくだり三の塔からヨモギ尾根を案内して、札掛と周遊した。Fさん、ヨモギ平で丹沢にもこんなところがあるんですねとひとしきり感嘆していた。そこでこのヨモギ尾根をメインテーマに蓑毛からヤビツ峠、ヨモギ尾根、ヤビツ峠、蓑毛と車を使わないで周遊するコースを紹介したい。

秦野駅からヤビツ峠行は平日1便、土曜日2便、休日3便と便数が少ない。だが蓑毛までとなると時間は気にしなくても良い。それでも秦野駅は8時台のバスに乗りたい。 蓑毛でバスを降りたら川沿いの車道を登って行く。大山に向かう道を右に見てなお歩くと植林地となりやがて堰堤に突き当たる。ここに秦野湧水群の標識があり、側壁から勢いよく水が出ている。久しく止まっていたが出ている。ここで一休みだ。丸太の橋を渡っていよいよ山道に取り掛かる。この柏木林道はよく歩かれている道で迷う所は無い。折り返し折り返し山腹を巻いて登る。途中、秦野の町が樹幹から見える。やがて谷越えに自動車の音が聞こえ出すとヤビツ峠は近い。道は二手になるがどちらを歩いても大差は無い。右手の道を登ればヤビツ山荘のある広場に出る。この先の階段を降ればヤビツ峠のバス停のある広場だ。、左手の道を歩けば車道に出て右に行けば同じところに出る。ここは新しくなった公衆便所もあるし、道を隔てた向こう側には国民宿舎丹沢ホームの売店がありジュース等が買える。ここで一息入れたら公衆便所の裏手にある駐車場に回る。この隅から山道が始まる。登る道は県有林の作業道で、ここは下にくだる。地図ではここから青山荘までの道は破線で示されていて廃道扱いされている。しかし、涸沢をいくつか渡るがここを注意さえすれば格別問題は無い。古い道標も残っていて、もっと歩かれて良いのではなかろうか。車道を歩くよりは気持ちのよい道だ。やがて小さな板橋を渡ると青山荘の裏手の広場に出る。この後は車道に出て道なり歩く。諸戸山林事務所を通過する辺りから藤熊川の川沿いにオ−トキャンプ場がありにぎやかな声が聞こえてくる。陣賀橋(大きな標識が出ている。)を渡ってすぐに左手から林間に入る。車道はこの先でゼット形にカーブとなっているのでショートカットの道だ。この先に清滝橋があり、ここで水が汲める。休日には、結構、車で水を汲みに来ている。やがて地獄沢橋を通過して道の正面に札掛森の家が見えると秦野市と清川村の境にある境橋だ。ここを渡って車道から下におりて左、藤熊川と右、布川の合流点に架かる吊り橋をわたる。橋の下で左岸から石伝いに向こう岸に渡り尾根に取り付く。この尾根はまっすぐに登るだけで迷うところは無い。次第に高度を上げる。右手に樹幹の切れ間から国民宿舎丹沢ホームの建物が眼下に見える。なおも登るとやがて左側は植林地で右側はぽっかりと開いた草地となる。ここでは道が見えなくなるが迷うことは無い。次いで植林地の中に入り、また開けた草地を歩き、薄暗い植林地を通ると前方が明るく見える。植林地は終わりだ。ここで最初の金網を出ると目の前は大きく開けた草地でテンニンソウの大群落だ。右手には谷をへだって長尾尾根が大きな姿をあらわす。緩やかな斜面を登るとまた金網だ。このあたりの景色は丹沢でもめずらしい光景だ。谷の向こう側には右から左に尾根が連なり左端に見事なピラミッダブルナな山容を見せるのは新大日だ。表尾根の縦走路を歩くときはただの小さなピーク位にしか思えないのだが、こうしてまったく別の角度から眺めるとなかなかよい山容だ。この一帯は疎林で左右に緩やかな広い尾根が広がり中央がくぼ地となっている。進む道はこの左手の尾根だ。また金網を通過して尾根はやがて狭まる。正面には三ノ塔が大きな姿を見せる。金網も尾根沿いに伸びていて、これが最後の金網だ。ここでは金網は尾根沿いになっているので、当然、入り口を右から左にくぐることになる。ここから次第に急な登りとなる。やがて藪っぽくなると、最後の登りだ。とにかく道を見失わないように笹をかき分けて辿る。笹藪が次第に深くなる。やがて右手の斜面の端に出る。この縁を少し登ると道は左になり、笹藪に突入だ。ここら辺りからは笹藪も深いうえ急登となる。頭を低くして笹をかき分けながら登る。ただ道はよく踏まれていているので心配は無い。やがて三ノ塔の縦走路の脇に祀られているお地蔵様の裏に飛び出す。この後、三ノ塔のベンチで小休止だ。二ノ塔を経てくだる。富士見山荘の前から車道を歩いてヤビツ峠に向かってもよいが、青山荘まで車道を下りここで一休みだ。この後、今朝、歩いた道を戻る。ヤビツ峠、秦野湧水群のある堰堤を経て蓑毛に到着だ。

コースタイム

秦野=蓑毛(20分)堰堤(50分)ヤビツ峠(25分)青山荘(15分)陣賀橋(24分)境橋(吊橋)(60分)最初の金網(35分)最後の4番目の金網(40分)三ノ塔(10分)二ノ塔(40分)富士見山荘前(10分)青山荘(25分)ヤビツ峠(30分)堰堤(15分)蓑毛=秦野 


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