山 紀 行

天城山縦走(日本百名山標高14070)縦走

「現在、地図の上で天城山脈と記されているのは、東海岸から起こって、遠笠山、万二郎岳、万三郎岳、それから天城峠を経て、猿山、十郎左衛門山、長九郎山と続いて、西海岸に終わっている。つまりーつを指して天城山と呼ぶ峰はなく、伊豆半島の中央を東西に横切ったこの山脈を眺めて、そのうちのどれであろうと構わず、人はただ天城山と呼んでいる。」(深田久弥「日本百名山」)

下丸子を5時8分の始発電車に乗る。蒲田、川崎、熱海と乗り継ぐが接続が悪く各駅でそれぞれ15分前後の待ち時間がある。とにかく伊東駅で8時のバスに乗れれば良い。車中で朝食を食べて景色を眺めているとつい居眠だ。伊東には7時45分定刻に到着だ。
天城高原ゴルフ場行きのバスの出発時間は8時だ。バス停に列んで待つ。伊東の駅前は閑散としている。同じ電車で来たのであろうか一緒にバスに乗る登山者は5名だ。ゴルフバッグを抱えた人がー人来て、結局、バスの乗客は6名だ。たぶん皆さん登るのは天城山(万二郎岳、万三郎岳)だろう。なんとなくほっとする。一度登山口を下見をしているので心配がないのだが初めてのところでは何となく緊張する。定刻にバスは走り出すが、バスはあちらこちら寄り道をする。バスの窓から登山者の目でこんな風に伊東の町を眺めるのは初めてだ。景気が良さそうな感じはどこにもない。 早朝のせいか車も少ない。やがて天城高原ゴルフ場、終点だ。ゴルフクラブの前だ。自動車があちらこちらに駐車している。少し戻るとトイレがあり天城山縦走路の案内板がある。ここには4、5年前、事務所の慰安旅行で伊東に来た折りI君の車で来て登山口を確かめている。 9時5分に歩き出す。静かな山道にゴルフ場の草刈機の音が響き、耳障りだ。時折、プレー中の客の呼び出しが風に乗って聞こえてくる。興をそがれることこの上もない。しかし、道は整備されていて歩きやすい。ヒメシャラの巨木が目にはいる。下からの声が聞こえなくなり、やれやれと思うと今度は上から人の声がする。山頂が近いのか。万二郎岳山頂だ。さしたる急登もないので拍子抜けする。山頂とはいっても周りは樹林で見通いま利かない。標識でもなければ通過してしまいそうだ。方二郎岳からは少し急なくだりとなるが樹林に覆われて展望はない。ガスが覆って風が冷たい。馬ノ背と標識のある平らな尾根道を通過する。ここがアセビの純林とかでガイド記事にはここの写真が掲載されている。 やがて緩やかな道を登ると万三郎岳山頂だ。ここも樹林に覆われて見通いま利かない。少し広くなっていて案内板やら山頂標識がある。潤沢分岐点から登ってきた人が3人、先着組が2人おられる。時計を見ると11時5分だ。 昼食に丁度よい。エスビットでお湯を沸かし味噌汁を作る。おにぎりを2個食べる。今日はキュウリの糠漬けを2本持って来ているので食が進む。汗をかいた分塩分の補給に丁度良い。ただこれは食べ過ぎると歩く途中でゲップが出て往生するので要注意だ。1本は3時まで残す。食事が終われば早々に出発だ。沢分岐点にくだり山腹を巻いて出発点の天城高原ゴルフ場に戻るのもーつだが、それではもの足らない。今日は縦走路を完歩したい。一人ですることもないので直ぐに歩きだしてしまう。とにかく今日は長丁場た。疲れたらどこかのベンチで寝ればよい。少しくだると片瀬峠だ。今度は緩やかな広い斜面を登ればベンチがある。緩やかなくだりとなる。ここをおりてしまえば平坦で単調な歩きた。 今日は風が冷たいのが救いだ。 このコースは水場もないし、夏ではとても歩:けそうにもない。塚峠、白田峠と標識がある。歩く人は少ないと見えて誰にも会わない。開けたところに出る。八丁池だ。周囲が八丁有るところから名付けられた火山湖だ。休憩舎でー休みだ。ここは家族連れが多い。天城峠から2時間近くのハイキングコースだ。大きな起伏もないし家族連れには手頃なのかもしれない。途中、見晴台に寄る。縦走路から1分の標識がある。行ってみると立派な展望台があり、上がってみるとハ丁池が見渡せるが周りは樹林に覆われている。見渡す限り緑の海だ。富士山でも見えれば絵になるのだがあいにくガスで展望は利かない。ここからも長い。緩やかなくだり道だ。谷間にワサビ由が見える。向峠で休みた。 時間も予定よりは早いし、ここまでくればー安心だ。残るキュウリを食べてお茶を飲む。お菓子を食べるよりは乙なものだ。さあ、ひと歩きだ。 天城峠だ。今日はここまでた。天城縦走路はここからまだ4、55キロ有りそうだ。どんどんくだる。旧天城トンネルの前にある広場に出る。トンネルが暗い入り口を見せている。お孫さんを連れた年輩のご夫婦に何処から歩いたかを問われて天城高原ゴルフ場から6時間歩いた旨を教えると感心される。標準のコースタイムが6時間だ。食事や休憩時間を考えればまずまずといえるかもしれない。ただ何となく歩き足りない。さほど汗をかいたわけでもない。総じて平坦な道を歩いただけだ。これが百名山かと何となく物足りなく思う。このコースは6月の新緑の頃のシャクナゲが見所かもしれない。山登りとしてはとにかく物足りない。ここから更に斜面を下ると新天城トンネルた。バス停もここにある。 バスの時刻表を見ると修善寺行きは3時46分だ。50分もここで待つとなると歩いたほうがよい。とにかく歩く。行き交う車が多く車道を歩く物好きはー人もいない。ふた停留所を歩いたところの大川端キャンプ場バス停で小休止をしているとバスが来る。時間には早いはずだがと思うが乗る。ボンネット型の旧式バスだ。車掌さんも着物姿で若いというより幼い感じのする女の子だ。修善寺までは1010円だ。どこかで途中下車をしてひと浴びしたいところだがやむを得ない。この後、修善寺、三島、熱海、川崎と乗り継いで7時帰宅する。何となく物足りなさを感じたが、時々、丹沢以外の山に出掛けるのも悪くはない。次は機会を見て赤城山だ。

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