山 紀 行
第3回北アルプス縦走記(五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ケ岳)
 先々週、五竜岳を目の前に遠見尾根を下った。ガスで視界も利かないし、単独行だ。余力を残して山をおりるにしくはないと下山したのだ。五竜山荘前でEさん達に何時これるかわかりませんよ、と何度も誘われた。夜行列車で1泊、山小屋に2泊、さらにもう一泊するとなるとなると体調も心配だった。しかし、1週置いて北アルプスを再度歩けるとは嬉しい限りだ。 15日 11時50分新宿発の急行アルプスに乗るべく家を9時30分に出る。10時20分というのにホームは登山者で大変な賑わいだ。今日も11時54分発の臨時急行アルプス85号がある。どうせ八方では7時からしかリフトが運行をしない。急ぐ旅ではあるまい。こちらの列車を利用する。座席が向かい合わせで固定されている旧型車両だが、走り出せば床に新聞紙を敷いて寝るので空いている方がよい。先発が出て4分遅れで発車だ。それにしても大変な人だ。見渡すと満席だ。 

16日 

白馬駅==八方==八方池山荘−−八方尾根−−唐松山荘−−五竜山荘(泊)

 5時45分白馬駅に下りる。2回目となると様子も分かる。初めてのところは何となく緊張するが今回は気分も大変楽だ。 バスを降りてひとしきり町中を歩く。道は分からないが皆さんが歩く方で間違いあるまい。この町の風景は何となく雪国を感じさせる。冬になればスキー客で賑わうのであろう。八方口ケーブルが動くのを待つ人で長蛇の列だ。自販機でジュースを買いラスクを食べてケーブルが動き出すのを待つ。7時だ。係員が来てケーブル駅が動き出す。列が少しづつ動き出す。切符を買う前にザックの重さを量り自己申告をする。12キロだ。荷物で400円運賃が加算される。 ロ−プウエイからリフトを2回乗り換える。やがて雨が降り出す。小雨だ。リフトの終点は八方池山荘の前だ。屋根あるところで直ぐに雨具を着る。一段上に八方池山荘の建物がある。早速に歩き出すがあいにく雨模様だ。たいした降りではないが展望が利かないのが残念だ。 登山道の下に八方池が見える。晴れていればこの池に不帰ノ険が写り展望を楽しめるのだが。 長い尾根だが急な登りはない。シャッツを脱いだせいか寒い。 唐松岳山荘に入りシャツを着る。ここはごった返しだ。 牛首ノ頭 ガスで見通しは利かない。しかし、先々週歩いているので気分は楽だ。 五竜岳山荘に到着だ。ここも大変な人だ。 指定された寝場所は通路を挟んだカイコ棚の2階だ。大阪から来られた6人のパ−ティ、岡山から来られた親子3人組、松江から来られた人とさすが北アルプスだ。 食事はカツカレーだ。 8時頃あまりの暑さに目を覚ます。おまけに足も伸ばせない。お手洗いに行く。帰ってきて向かい側の1階を覗くと布団の置き場だが、ザックが置いてあり、手前は寝るに充分な空間がある。早速ここに潜り込む。やれやれだ。ここなら眠れそうだ。ぐっすり眠り込む。

17日

五竜山荘−−五竜岳−−キレット小屋−−鹿島槍ヶ岳(北峰−−南峰−−布引山−−冷池山荘(泊)

朝食は弁当でお願いしていたので5時45分歩き出す。今日はお天気がよい。昨日とはうって変わって快晴だ。歩き出してまもなくだ。雷鳥が目の前を横切る。あわててカメラを用意しているうちに傍らのハイマツの中に潜り込んでしまう。残念だ。 五竜岳山頂だ。本当に展望はよい。南正面に鹿島槍ケ岳の双耳峰の雄姿が見える。 五竜のくだりから前を歩く方となんとなくご一緒する。後から矢島さんと知る。 こういう山域では単独組みはなんとなく一緒になるのだ。 八峰キレット 鹿島槍ケ岳の北峰だ。鞍部にザックを置いて北峰を往復する。残念ながらガスが覆ってくる。時折とぎれるガスの合間から下に大きく広がる雪渓が見える。これがガイドブックに記されているカクネ里だ。万年雪か。南峰だ。ガスが次第に出てきて視界は利かない。 布引山だ。 冷池山荘に到着する。ここも大変な人だ。 小屋前をぶらぶらする。ガイドさん達が3人小屋の前のベンチでくつろいでいる。ガイドさんたちに次から次に引率してきたツア−客の中年女性から缶ビ−ルが届けられる。こちらもお相伴に預かる。話に加わり雑談だ。遭難事故に対する長野県警と富山県警の対応の違いだとか、とにかく滅多に聞けない話ばかり面白い。 山の名前を覚えること、花の名前を覚えることなどがガイドの必須の要件のようだ。 ロッククライミングをしてきたガイドさんは、山の名前だとか花の名前だとかは苦手で自分は事故があればお客さんを背負っておろせると言っている。 本当はこんなことが一番大事なのだろう。

18日

冷池山荘−−爺ケ岳−−種池山荘−−柏原新道−−扇沢==大町温泉郷==信濃大町 

2時30分小屋が騒々しく目が覚める。ご来光を鹿島鑓ケ岳の山頂で見ようという人達だ。この後うつらうつらして寝てしまう。5時小屋を出る。大谷原分岐で日の出を見る。モルゲンロ−トの鹿島槍が岳を写真を撮る。写真をとり終わったら急にお腹がすいてきた。ここで朝食だ。ラスクを食べる。陽が上がりだす頃、後続が続々とやってくる。こうなると出発だ。やがて爺ケ岳だ。この時間になると種池山荘からの登山者が登ってくる。山頂はたいへんな賑わいだ。 正面に蓮華岳、針ノ木岳が見える。三大雪渓の一つの針の木大雪渓が見える。この後、種池山荘の前でお湯を沸かしお茶を飲む。この山荘の前から柏原新道をおりれば扇沢だ。 名残惜しいが仕方がない。大町温泉郷の 薬師ノ湯でひと浴びし、大町の駅前の小林で蕎麦だ、ビ-ルだ、などと考えるとおまわず脚は速くなる。 


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