山 紀 行
雲取山

奥多摩駅=鴨沢−−お祭−−後山林道−−三条の湯(泊) 三条の湯−−水無尾根−−三条ダルミ−−雲取山−−鴨沢=奥多摩駅

「雲取山(2018b) 東京都西多摩郡奥多摩町、埼玉県秩父郡大滝村、山梨県北都留郡丹波山村との境。青梅線奥多摩駅の北西15q。東京都の最高峰。秩父多摩国立公園。南・西斜面は草生地。北・東斜面は原生林に覆われる。」(三省堂「日本山名辞典」)

夏休みに奈良か京都に行く予定でいたら正之が山行を希望する。8/11の筑波山がよほど気に入った様子だ。ハイキングとなると妻も娘も二人で行ってくれと言う。JTBの「関東周辺ハイキングガイド」ブックを購入し、1泊2日の行程の山行を探す。東京都の屋根なる表題に惹かれ雲取山に決める。さっそく秋葉原に出かけ、ニッピンで軽登山靴、ザック、ズボン、靴下等を購入する。旅行に出かけるより安上がりと思い散財する。 8時頃家を出る。はじめてのニッカ姿に電車の中は二人とも下を向いている。奥多摩駅は行楽の客で一杯だ。天気は快晴。駅近くのお店で弁当を購入する。奥多摩駅で御祭行のバスの時間を聞くと12時までないという。そばにいた中年の登山者が、「鴨沢からお祭りは歩いて15分なので、このバスで行くといい。」と、教えてくれる。教えられたようにする。バスを降りて歩く。同方向に向かう登山者4人位、相前後して、暑い車道を歩く。缶ジュースを買うため後山林道の入口にある民宿に寄る。おばあちゃんに気を付けて行くように注意を促される。なんでも昨夜から若い女性が戻らないので消防の人たちが捜しに出かけるとのことだ。緊張気味に後山林道を歩く。正之一人で先にドンドン行く。林道の途中で昼食にする。林道が工事中の個所からいよいよ沢を渡り山路を歩く。息がきれる頃、三条の湯の小屋が見える。なつかしい景色に心が踊る。板張りの小屋で壁には薪が積んである。受付を済ませる。最初予約の電話を入れたとき名前も聞かず不思議なる感じであつたが、現地で疑問が氷解する。民宿ではない。山小屋なのだ。受付後小屋の回りや、炊事場を二人で探検する。北海道での生活を思い出させる。小屋の壁には薪が積んである。丸太、鉞がある。正之にマキ割りの実演をしてみせる。小屋の屋根越しに白樺の木も見える。北海道ほどは太くないが、なにやら似かよった景色に人知れず感慨無量である。初めての山小屋での宿泊を体験する。3時に着いたときは人が少なく小屋の中で休憩する。次々に登山客がくる。辺りが暗くなる頃には足の踏み場もない位の超満員となる。親子連れも多い。6時夕食だ。小さな食堂で交代して食事をする。空腹なのでなかなかの美味だ。正之は魚の甘露煮を残す。あたりはすっかり暗くなる。まだ人がくる。鉱泉の湯に入る。男女1時間おきに交代ではいるシステムだ。布団は三列に隙間もなく敷き詰める。歩く余地無し。9時消灯だ。なかなか寝つかれず、何度も目をさます。懐中電灯の必要性を知る。正之はぐっすりと寝ている。 朝は5時頃目をさますと、正之はもう起きている。6時朝食だ。6:30出発する。とにかく汗をかく。息がきれる。汗で下着が濡れている。沢で水が出ている。誰かが笹の葉を丸めて水が飲み易くしている。汗を拭い、喉を潤す。こういう所を水場と云うことを後日知る。この水場で中年女性、正之に「お父さんとお揃いね」なることを云う。後日、正之が曰く。「傷ついた。」今はそういうことに一番傷っく年頃だそうだ。自分で云うのだから世話はない。歩きがだんだん快適になるころ視界も開け、山並が見える。雄大な景色だ。歩きも快調になる頃、三条ダルミに着く。汗でびっしょりだ。休憩する。いよいよ雲取山頂上まで200bの標識をみる。三条ダルミから雲取山山頂までの急峻な登りをあえぎあえぎ登る。「もうすこし」と、下山者に励まされる。頂上にでる。山頂での雄大な眺めにひたすら感激する。パノラマ写真をとる。富士山も見える。山頂直下の避難小屋で小休止する。置かれていたノートを読む。10:30早くも下りにつく。後日なぜあんなに急いだか不思議に思う。よほど感激して興奮していたかも知れない。下りも感激の連続だ。石尾根、ブナ坂、反対側の赤指尾根の展望、足どりも軽く、軽快に飛ばす。年配の外人夫婦が座り込んで赤指尾根を眺めている。日本の自然を誇りたくなる。短パンに小さなザックの若い外人がぐんぐん登ってくる。七ッ石山下の水場近くで昼食を食べる。汗を拭う。山小屋の横を通る。沢山の登山者があえぎあえぎ登ってくる。その様子を見て、安堵する。初めての場合、後山林道−三条の湯−雲取山−鴨沢、というコースが正解かも知れない、としきりに思う。この道を登りに取っていたら山頂までたどり着けたかどうか怪しいものだ。植林越しに下に車道や人家が見える。車道に出る。車道歩きには閉口するも安心感と満足感から歩く脚も早い。帰りのバスも超満員だ。電車の中でも興奮さめやらず。この後1週間は身体のあちらこちらの筋肉が痛む。とりわけ通勤途上の階段では足腰が痛い。



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