柳瀬和之のホ−ムペ−ジです

塔ノ岳山頂からの富士山
2011/01/10撮影

あけましておめでとうございます


  山登りは「低山に始まり、低山で終わる」と言われています。かくいう私も登山歴30年近くとなりましたが、このところ専ら高尾山に登って、下山後、高尾山温泉で一浴びするのが私の山登りとなりました。
 また「文芸春秋」、「源平盛衰記」等々の雑多な分野の雑誌や本を読み始めた中学からの読書も今では「週刊東洋経済」誌を一週間かけて読むのがやっとのことでこのところ専らyoutubeで歎異抄だ、芥川龍之介だ、、山本周五郎だ、とこれまた雑多な分野の朗読を聴いています。

 このyoutubeで朗読を聴いていて当然のことかもしれませんが朗読者によって作品の印象が異なるのです。例えば、youtubeで聴く歎異抄の朗読は故人となった俳優の三国連太郎です。バックに音楽も入っていますし、名優の思い入れもあって芸術作品を聴く思いです。
 一方、新潮社から出ているCD版の歎異抄の朗読はアナウンサ−の金内吉男さんです。淡々と朗読をされます。本を読むことの代わりであればこちらのほうが聴きやすいことになります。

 何年か前に電子出版で勝海舟の「氷川清話」を読んでいますので、youtubeにアップされたので聴きました。直ぐに止めてしまいました。こういう調子の朗読では勝海舟という人間の人物像が歪められるような感じです。「氷川清話」は」は福沢諭吉が嫌った勝のベランメ−口調、そのままに書かれています。幕末の激動期を生き抜いた勝の心情が率直に吐露されています。それだけに専門のアナウンサ−が淡々と読み上げてくれたほうが良いと思いました。

 このHP(閑話休題・「朗読を聴く」)にも書きましたが、市販されているCDや現在は姿を消したカセットテ−プを幾つも買い求め、これらをituneに取り込んでipodに転送して聴きました。これらはいずれもお金がかかりますし、文学作品を除くとその数はとても少ないのです。斯様な次第で、NHKのラジオ第2放送はとても役立ちました。ここで放送された「日曜講演会」、「朗読の時間」、「カルチャヤ−ラジオ教養講座」を予約録音(mp3形式)できる機器を介してipodで聴きました。満鉄の創立委員長の児玉源太郎に伊藤博文、山県有朋が「満洲は歴っとした清国の属地だぞ、やめとけ」といったという話(近代日本の外交の歩み)、若き日の荷風が、市ケ谷の拘置所から日比谷の裁判所に向かう、大逆事件の被告を乗せた囚人馬車を目撃して文学の方向性が決まったという話(文学人と思想永井荷風)等のエピソ−ド、「葦声」「太郎坊」の朗読を聴いて知った露伴の人間を見る温かい視点、オウム事件の裁判を傍聴して現代の教育の欠陥を語った今は亡き佐木隆三氏の講演等々を思い出します。録音機器が壊れてからは、決まった時間にラジオのスイッチを入れなければならない等があったりして遠のいてしまいました。後期高齢者となり視力が落ち活字本を読むのが億劫になっていますが、上記に書いたかって聴いた数々の朗読、講演、講座を若い世代の皆さんに聴いて欲しいものと切に思います。

 フ−イルズ賞を受賞された数学者の小平邦彦先生が日本の国語教育の軽視を警告しておられましたが、はたせるかな最近の新聞報道が若年層の読解力の足らざることを報じていました。若年層が本を読まなくなったということは多くの人が等しく認めるところです。小学校から英語教育だ、プログラミング教育だ、とこんなに盛り沢山では教育の根本が揺らぎ、国の将来が危ぶまれます。問題は単なる読解力などではありません。自ら考えて主体的に行動するという人間を育てるということが教育の根本ではないかと考えるのです。それには本を読むことが大事なはずです。それが若い人達に少なくなっているというのですから由々しき事態だと考えます。
 本を読むことに興味を持たせるその手助けにNHKは現在放送している朗読、講演、教養講座、また、これまでに放送した膨大なこれらの文化音源資産をyoutubeのようにネットを活用して公開するとか、CDのような媒体を利用して社会に提供してもらいたいと切に願うものです。

          本年もよろしくお願いいたします


柳瀬和之(やなせかずゆき) 東京都大田区在住
yanase@taiyohdoh.net