追憶の百名山 飯豊山(2010/8/7)
政治の混迷(2021/8/25)
「東京五輪2020(2021/7/21~8/8)」が終わった。当初、大会会場の観客数も1万人だ、5千人だと取りざたされていたが、最終的には無観客で開催と決定された。それでもIOCのバッハ会長は一時は有観客での開催を要望していた。大会が終われば長居は無用とばかりIOCの関係者はさつさっと帰国してしまったようである。

 開催の是非を巡って中止または延期を求める意見が開催前から少なからぬ識者からあった。とりわけ医療関係者からは非常事態下の開催であり感染者数の危機的な増加が予想されるということで大会の延期、中止を求める声が上がっていた。しかし菅首相はワクチンの接種が進んでいるし五輪が始まり日本選手団の活躍を目にすれば反対意見も収まるであろうと考えていたようで開催に踏み切った。しかしこうした政府の楽観的な予想に反しコロナ第五波は猛威を振るい医療体制の崩壊が報じられ始めている。

 8月11日の朝日の社説で「コロナ下の首相 菅首相に任せて大丈夫か」を読ん本当にそう思った。こうした事態は五輪が始まる前から当然予測されていたいたのだ。

 ワクチン接種率さえ上がれば問題ないと楽観していたようのだが、そのワクチンも供給面に滞りがあって20代30代40代50代の一番活動力がある層の接種が進んでいないという。もともと接種率の中身も問題で公平性ということばかりが前面に出て人口の少ない地域や高齢者から始まったのです。人口の多い大都市から重点的に接種を始めるべきではなかったかと考えるのです。

 菅首相はコロナ第五波と五輪は関係ないと云いますがこれだけの大規模なイベントがあり人流が増えれば何らかの影響は有ると考えるのが当然です。現実にこんなに感染者が増えていれば無関係で済ませられる話しではないと思うのです。ワクチン接種率さえ上がればと楽観視していたようですが、現実に東京で感染者が四千人五千人を超えた場合の対応策を考えておられたのか疑問に思う。

 先々のことを考えるのが政治家の役割であると考えるのですが、この無策ぶりには驚くばかりです。政治主導で有ればこそ先々の対応を考えなければならない首相が目先のことばかりを云っているようでは「こんな首相に任せられないということになるのは当然のことだと思うのです。

現在の政治の実体がどんなものかはyoutubeで公開されている日本記者クラブでの「官僚と政治」と題する前川喜平氏の講演を聴いて成程と思いました。適宜な政権交代がない限り政治家に緊張感が薄れ創造性が欠けるのは当たり前の話しではないかと思うのです。それにしても国民の政治意識が変わらない限り日本の将来は暗いと思わざるを得ません。

 齢八十となる老人が分不相応な心配をしたところでどうなるわけでもないが、現在のコロナ禍に翻弄されている現状を見ていると日本の将来が心細くなります。

下記をクリックして前川氏の講演をお聴き下さい。
「官僚と政治」(3) 前川喜平・元文部科学事務次官 2021.7.16

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