第374回山行報告 塔の岳(’09/10/10〜11)
 10月に百名山(八甲田山)をもう一座出かけてから丹沢と考えていたが、青森のお天気をネットで見る限り晴れのマークが2日と続かないので別の機会にすることにした。そんなことでこの連休は久しぶりに丹沢に行くことにした。

 大倉のどんぐりハウスで味噌汁を頼んでおにぎりを食べた。ケイコさんにお久しぶりですねと声をかけられたが、そう5か月ぶりだ。10時6分に歩き出した。今回はNHKカルチャーラジオ「人間を考える」シリーズだ。第1回目の講演者は「天地人」の作者大坂雅志氏で直江兼続の話だ。風が冷たく雲行きもなんだか怪しいが、こうして講演を聴きながら歩くには格別のことはない。途中から雨がぱらついた。急いでカメラをビニールに包んでザックに仕舞いこんだ。この後は傘で歩き出したがよほどの雨や風でもない限りザックカバーに傘のスタイルが一番いい。
 見晴小屋についたが汗でシャッツが濡れているせいか冷たくて休まずに歩くことにした。第1回が終わって、2回目が始まる。講演者の女優小山明子さんの率直な話に引き込まれた。一本松のベンチもちょっと立ち止まっただけですどんどん歩いた。堀山の家の少し手前で終わった。堀山の家だ。ここでコーヒーを飲んで一休みだ。なっちゃんにもお久しぶりですよねと念を押される始末だ。いただいた梨の美味しいこと言葉もない。3回目は分子生物学者福岡伸一氏の話で生命を「動的平衡」という点から説明してとにかく面白かった。これも面白くて聴き入って歩いたので大倉尾根の難所もなんてこともなく通過した。小草平もちょっと立ち止まっただけで通過した。花立山荘前の階段では狂牛病のことに言及されたところでは、なんてバカなことをしたものかと腹を立てて登っていたので気が付いたら登り切っていた。花立山荘だ。小屋の中は閑散としている。時計を見ると1時14分だ。大倉から3時間8分だ。堀山の家で大休止をしただけでどんどん歩いた。何時ものようにトン汁を頼んでおにぎりを食べた。具のキノコを食べて、思わず小屋の人が採ってきたものか尋ねてみた。これは違うそうだ。キノコを食べる会は来週だそうだ。ここからは趣向を変えて「朗読の時間」だ。水野広徳著作集だ。大正9年5月に第1次大戦直後の欧州から帰ってきた著者が海軍省を訪ね海軍大臣の加藤友三郎大将に帰朝報告をしたくだりには感銘を受けた。塔の岳山頂に出たが、尊仏山荘には立ち寄らず表尾根をくだった。カメラはザックの中で、時間の記録はないが3時前だと思う。木の又小屋に着いた。なんとSさんご夫婦が来ておられるではないか。今夜は楽しそうだ。賑やかな声がする。5月に生まれた若い鹿が小屋の前まで来ていて草を食んでいる。親鹿は少し離れたところからじっとこちらを見ている。遅く若い5人組のパーティが到着した。中森さんの話では最近若い登山者が増えたそうだ。

 翌朝、6時少し前に起きたが朝日が差し込んで明るい。朝食の後、皆さんより一足お先に小屋を出て塔の岳に向かう。気持ちの良い朝だ。山頂に出たがすぐに「不動の清水」にくだり顔を洗った。山頂に戻って尊仏山荘でコーヒーを飲んで一休みだ。花立さん、大野さんの姿は見えないが、若林さんがいる。彼に全日本山岳写真展の話をした。9時36分小屋を出た。鍋割山稜を歩いて、久しぶりに小丸尾根を下ったが、意外と登ってくる人が多いのには驚いた。この小丸尾根の下部にはモミの木の大木が何本もあって楽しめるのだ。11時33分林道に出た。少し歩くと勘七ノ沢の出会だが流れが広がっている。ここを渡った地点で一休みだ。ここからの長い林道歩きはNHK第二で日曜日6時45分から放送された鷲田清一氏の「老いの哲学」(全13回)だ。聞き始めたが興が乗らない。変えるのも面倒なので、そのまま続けたがさっぱり興味が持てない。ただ漫然と聞いているばかりだ。大倉に1時10分に帰り着いた。どんぐりハウスの前で木の又小屋で同宿の若い方に声をかけられた。大倉尾根を下ったそうだ。


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