第365回 塔の岳(’08/10/12〜13)
 今度の連休の日曜日、月曜日はお天気がよさそうだ。土曜日は雨でも移動の日として登山口近くの宿にでも泊まれば日曜日早朝から登れる。少し興奮気味にあそこの山はどうだ。こここの山はどうだと「東京周辺の山」「東京周辺の山350」の目次を何度も見る。そのうちだんだん億劫になってきた。しまいには何時もの丹沢大倉尾根でもいいではないかと考え出した。「移動と空間の世界史」全13回の7回分が残っている。これを聴きながら登ってもと考えた。山折哲雄先生の「日本人の精神世界」もまだ何回分が残っているし、そのほかいっぱいストックがある。普段いくつかのプランを用意していてこういう時に即実行という準備がなければ無理かもしれない。そんなことで結局は丹沢大倉尾根に決めた。
 どんぐりハウスでおにぎりを食べて10時26分歩き出した。第6回「イスラム商圏と世界史の誕生」から聴きだした。1回分が30分だから歩く目安となる。とにかく下を見て歩く。こういう切り口で世界史を概観するのも面白い。観音茶屋の少し手前で1回分が終わる。続いて第7回「モンゴル帝国とユーラシアの一体化」だ。11時13分に見晴小屋に着いた。休憩を兼ねて終わるまで聴いていた。第8回「大航海時代が開くオーシャンの時代」が始まると同時に歩き出した。一本松のベンチで小休止をしたが、続いて第9回「環大西洋時代から興った資本主義の時代」を堀山の家のかなり手間で聴き終わった。ここからはしばし無音だ。12時30分堀山の家についた。小屋の前のベンチも小屋の中も大賑わいだ。コーヒーをお願いして小屋のストーブの前で暖をとる。汗でシャッツがびしゃ濡れでじっとしていると寒いくらいだ。コーヒーが出てくると大福がおまけだ。この小屋を切り盛りしているのが「なっちゃん」という女性で中高年のお客さんに大変な人気のようだ。私にも「先週も来ておられていましたね」と声をかけてくれる。小屋の様子は私のHPにリンクをはってあるのでぜひご覧ください。12時45分堀山の家を出発した。ここから花立山荘までが難関だ。ここからは第10回「産業革命と鉄道、蒸気船」、第11回「ヨーロッパと従属する世界」を聴いた。とにかく面白くて気が付いたら花立山荘だ。1時41分だ。大倉からの所要時間は3時間15分だ。この登り方だとひとり納得していた。早速、昼食だ。大福を食べたせいかあまりお腹はすいていない。トン汁を頼んで、朝、食べ残したおにぎりの半切れを食べていると、不意にSさんに声をかけられる。久しぶりだ。Sさんご夫婦とは何度かご一緒をしている。今夜の木の又小屋は楽しそうだ。2時2分小屋を出た。第12回「19世紀後半の新しい波と二つの世界大戦」を聴いた。「金冷シ」で追いついて、追い越した。今夜は木の又小屋でゆっくりとお会いできるので先行した。2時36分に山頂に着いた。ガスで展望は利かない。早々に尊仏山荘で休憩だ。花立さんの話では若い人が蛭が岳往復で木の又小屋泊まりだと教えてくれる。2時56分表尾根を下り木の又小屋に向かった。今夜の泊まりは顔見知りの小田原のT先生、Sさんご夫婦、蛭が岳から戻ってきたHさんと賑やかな語らいで楽しいひと時を過ごした。「朋あり、遠方より来る。亦、楽しからずや。」
 翌朝はどこに行くというあてもないが、久しぶりに表尾根を下り大倉か蓑毛だ。新大日で長尾尾根を下るという同宿のHさんと別れた。ここから最終回の「ジェット機とコールドチーンと世界都市」だ。とにかく面白かった。講演者の元北海道教育大教授宮崎正勝先生はいかなる学者先生か気に懸かる。烏尾山荘を覗いてみる。加藤さん元気だ。三の塔、二の塔をへて久しぶりにヤビツ峠に1時27分に着いた。歩けば蓑毛まで1時間だが今日はバスに乗ることにした。ベンチで子犬を抱いている奥さんと犬の話をして時間をつぶした。レオンはどうしているかな。急に里心がついた。


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