第327回山行報告 塔の岳(’05/1/22〜23)
 9時35分大倉から歩き出した。今日も太平記だ。大倉尾根や通勤電車の中で何度か聴いた後、家でテキストと照らし合わせてみた。中国の故事来歴に及ぶくだりは聞き流しただけではなかなかすぐには理解できない。最初からテキストを読むよりこうして何度か音声で聴いたほうがよく理解できる。昔、新田次郎の小説「新田義貞」(上巻下巻)を読んでいるが、こうして原典を読む(聴く)のはとにかく面白い。
「中将はこの幾年を恋いしのんで逢う今の心の中、・・・・あやなく迷う心の道、いさめる人もなかりしば、去んぬる建武のすえに、朝敵四海の波に漂ひし時も、中将この内侍にしばしの別れを悲しみて、征路にとどこほり、後に山門臨幸の時、寄手大嶽より追い落とされて、そのまま寄せば、京をも落とさんとせしかども、中将この内侍に迷うて、勝つに乗り疲れをせむる戦いを事とせず。そのつひえははたして敵のために国を奪われたり。まことに「一たび笑んでよく国を傾く」と、古人のこれをいましめしもことわりなりととぞ覚えたる。」(義貞の首獄門に懸くる事付けたり勾当内侍の事)
 こういう名調子を聴きながら登るのでこの単調な大倉尾根も疲れを感じない。考えてみればこの単調な大倉尾根だからこんなことが出来るのかもしれない。当分このスタイルだ。・・・花立山荘に入って時計を見ると12時46分だ。所要時間3時間10分だ。今日はザックが少し重いのと掘山の家でコ−ヒ−を飲んで休憩したことを考えるとまずまずか。何時ものようにトン汁を頼んでおにぎりを食べる。・・・ここから登山道は雪が覆い、冬山の様相を呈する。今度は倍賞千恵子抒情歌全集2を聴く。・・・塔の岳山頂だ。山頂は雪ですっかり覆われているので新鮮な感じだ。尊仏山荘で休憩する前に「不動の清水」で水を汲んでおこうと、ザックを小屋の前にデポして空身でくだる。道はすっかり雪に覆われていてわずかに踏み跡があるだけだ。くだる正面に青空を背景に冠雪の富士にユ−シンの谷、デジカメはザックの中だ。残念だ。水を汲んで戻るがこれが難儀だ。小屋に入ってコ−ヒ−を飲んで2時30分小屋を出た。・・・表尾根をくだり木の又小屋に向かう。何時ものことだが表尾根は雪が多い。小屋の横の登山道は吹き溜りで2メ−トルはあろうか、雪の壁が出来ている。・・・夜はスト−ブを囲んでランプの下で同宿の皆さんと四方山話だ。満月で外は明るい。街の明かりも見える。ただ10時頃から雲が出て次第に翳りだす。
 翌朝は7時過ぎに起きたが寒さは格別のことはない。昨日とは打って変わってどんよりとしている。同宿の皆さんが出発された後、すこし遅れて出発した。のんびりと冬山気分を満喫しながら歩く。山襞が雪で浮かび上がり、冬のこの時期が丹沢の一番の季節ではなかろうかと思った。新大日で皆さんに追いついた後、久しぶりに政次郎尾根をくだり戸沢に帰り着いた。ここからTさんの車で風の大橋まで送ってもらったので意外と早く帰りついた。


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