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第306回北八が岳池巡り(’03/9/6〜7)
「八が岳の細長い主稜線は、普通夏沢峠によって二分され、それ以北を「北八ツ」という。」(深田久弥「日本百名山」)その北八ツの魅力は、静寂に支配された樹林帯とそこに点在する幽玄な湖沼にあるという。9月の連休は甥の結婚式で仙台に行かなければならない。帰りは家内と松島に遊ぶ予定だ。そんなことで時期は少し早いがこの土日北八ツに遊んだ。
 新宿発7時の特急を利用して9時7分に茅野駅に着いた。9時20分発の観光協会運営のラウンド便を利用したが料金は1000円と安いのだがあちだこっちだと寄り道をするので登山口の竜源橋についたのが10時50分だ。同じバスに乗ってきた若い2人組がさっさと登ってゆく。道路脇の空き地には車が4,5台駐車している。今日は泊まりだし、あわてることもあるまい。お腹を満たして歩き出す。時計を見ると11時10分を回っている。山道に人影はない。風は冷たいし歩きやすいことこの上もない。出合ったのは下山してくる2,3人だ。樹林が途絶えて笹原になるが左手の蓼科山の山頂にはガスがかかって頭を見せない。天祥寺平から少し登りとなるが静かな樹林帯だ。北から南にかけて西側に横岳、大岳、縞枯山等と山が連なり、屏風のように茅野側と隔てている。この東側に樹海が広がりここに幾つかの池が点在しているのである。やがて亀甲池だ。ここは10月の中旬頃がベストシ−ズンだろう。ネットで見た写真だが池に黄葉が映って見事だ。・・・・双子池(雌池)だ。2000メ−トル前後の樹林帯にこうして幾つもの池が点在し林床にはシラビソの倒木に苔が覆っている。・・・双子池ヒュッテだ。雄池を見て小屋の前のベンチで一休みだ。時間はまだ1時30分だしどうしたものかと思案していると、どうぞといって年配の二人組の方から紅茶をご馳走になった。お二人とひとしきりお話をした。麦草ヒュッテまで行って行けない時間ではないが、ここでのんびりとしたほうがよい。一人で歩くとどんどん歩いてしまうのが常だ。やがてお二人が大河原峠に車が置いてあるとかで出発された。
 翌朝は5時半に朝食を食べて6時には小屋を出た。林道を歩き出したが、これぞ信州というカラマツの林を抜けると左手東側は朝日に照らされた豊かな樹海が広がり、やはり泊まってよかったと思った。やがて雨池の標識を見て樹林帯に入る。まもなく雨池が樹林の間から見え出した。池とはいっても広さはかなりものだが、浅そうでかなり先まで干上がっている。池を半周するようだ。また林道にでる。しばらくするとまた林道を離れて樹林帯に入る。緩やかな登り道をひとしきりすると麦草峠だ。8時20分に国道299号線に出た。メルヘン街道とかで茅野側から佐久側に山域を横断している。道路をわたると広い駐車場がありここに麦草ヒュッテがある。なんとも言いようがない。コ−ヒ−をたのんで一休みだ。駐車場から斜めにつけられた広い道をひとしきり登って樹林帯を少し歩くと白駒池だ。あそこの大きな駐車場に観光バスで来て少し歩いてこの池を見て戻るというわけだ。池の傍らに白駒荘があり池には貸ボ−トも繋がれている。ひとしきりあたりを観察した後、白駒荘の横から山道に入り登りだした。やがて高見石小屋だ。小屋の裏手に大きな岩のごろごろと積み重なった岩山がある。これが高見石だ。登ってみれば東側に樹海が広がり白駒池が見える。西側には山の稜線が連なる。9時50分に出発だ。ここからの登りはだらだらと長く、例の如くひたすら下を見て登る。ふっと気がついて顔を上げるとくとくだってくる人が待っていてくれる。立ち話をすると麦草峠に車を置いて白駒池、ニュウと回って高見石を経て麦草峠と戻るという。登りきって平坦な樹林の中を歩くが縞枯現象と言うやつで立ち枯れの木が白く林立している様は驚くばかりだ。やがて岩がごろごろした中山だ。ここから少し下ると開けた肩に出た。正面に天狗岳が大きく聳えている。なかなか圧巻だ。これだけ鋭く起立している天狗岳を見ると例の「帰りがけのお駄賃」とはいくまい。中山峠から黒百合ヒュッテを11時50分に通過してひとしきりすると若い人が追い越してゆく。この後、この人のザックに付けた鈴の音を聞きながら一定の距離をとりくだる。ひとしきりくだるとこの人に追いついた。どうぞというので追い越したが、そんなことで調子よくくだった。砂利道を少し歩いてあっと思った。唐沢鉱泉の立派な建物の前に出たのだ。渋の湯にくだる分岐を見落としたようだ。1時少しだ。車道を歩き出すとまもなく先ほどの若い人の車が止まり何処に行くのか聞かれた。とにかくお風呂に入って茅野に出たいというと、最近、出来た「尖石温泉縄文の湯」でよければという。願ってもない。車中で話をしていたらあっという間に「縄文の湯」についた。茅野市の第三セクタ−が経営する公共施設だ。本当に大助かりだ。3時23分のバスまで1時間40分もある。のんびりとお風呂に入ってさっぱりとした。お名前もお伺いしそこなったこの方にHP上からお礼申し上げます。山もよし、人のふれあいもよし。楽しき哉山歩き。
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