第303回山行報告 王岳(.03/6/29)
 土曜日は雨で家にいた。天気予報では今週も日曜日月曜日は梅雨の中休みだ。夏山のトレ−ニングで日曜日は歩きたい。先週の丹沢では暑さで閉口した。たまにはどこか違った山域を歩いてみたい。こうなると富士五湖の王岳だ。あの山域は3回ほど歩いている。山歩きの大先輩横山厚夫氏は王岳を「縦走気分横溢の山。序章は小気味よい鍵掛峠への急坂、終章は女坂峠の好ましい峠道」(「一日の山・中央線私の山旅」)と紹介している。
 4時に家内に起こされ大急ぎで身支度をして20分に家を出た。立川、高尾、大月と乗り継いで7時43分河口湖駅に着いた。根場の社の前でタクシ−をおりて身支度をしていると一組のご夫婦が通過して行く。この後、林道を歩き出す。10分も歩いたであろうか、登山口を示す新しい標識がある。ここからが山道だ。風も冷たくて歩き易い。しばらく歩いて左手の沢におりて冷たい水で顔を洗って喉を潤す。この道は歩きやすい道で尾根の西側の斜面をつづら折れに次第に高度を上げる。植林地とは違って広葉樹の林相で気持ちがとても落ち着く。上の方が明るく見える。尾根に出たようだ。見上げるような大きな石の下を通過する。前回歩いたときこんな大きな石を見た記憶がない。もっぱら下を見て歩いていたのであろう。やがて鍵掛峠だ。先行されたご夫婦が前後して到着したようで丁度ザックを下ろされて休憩しようとしているところだ。ご挨拶をして隣り合わせで休憩だ。このご夫婦は鬼が岳に向かわれる。私は左手の王岳に向かう。この稜線は緑のトンネルで、ところどころで大きく開けて南側に足和田村の集落や西湖が見える。もやっていなければ南側には富士山が大きく見えるはずだが、この梅雨の季節では朝早くでなければ無理なのだろう。前回歩いたときは一日中、顔を見せていて、「偉大なる俗物」と悪態をついたが、こう見えないとなるとさびしい。思った以上に風も冷たく歩きやすい。緑のトンネルも鮮やかでいい気持ちだ。ただ花は少なく、稜線で気がついたのはレンゲツツジ1本だけだ。いよいよ登りだ。登りきって少し緑のトンネルを歩くと南側が開けた地点に出る。ここが王岳(1623メ−トル)頂上だ。少々休憩したが、一人ではすぐに歩き出してしまう。ここからはまた緑のトンネルで北側の斜面を急降下する。草や笹がかぶってはいるが道は明瞭だ。ヨコ沢ノ頭で登山者に会う。ひとしきり話だ。私と逆方向で歩いているがどうもこれはきつそうだ。ここから振りかって見る王岳はずんぐりとした三角形で特徴がある。途中で登山道の草刈をしている地元の年寄り二人に会う。この前後からか道も広く、小枝や株別れした小さな木が切られ、笹も刈り払われて歩きやすいがなんだか味気がしないでもない。明るく開けたところに出た。五湖山だ。ここからは木も背が低く疎林で先ほどの緑のトンネルとは様変わりだ。眼下に精進の集落や精進湖が望める。ここのくだりで花を見た。ゆりではないかと思うが分らない。小さなピ−クを幾つか越えると女坂峠だ。北側は上九一色村だ。かっては精進の集落と交流があったのであろう。道もとても歩き易く歴史を感じさせる。精進の集落を抜けて1時40分にバス停に出た。バスの時刻表を見ると河口湖駅経由富士吉田行きが1時54分だ。やれやれだ。バスが風穴、国民休暇村を通過するがどこもここもマイカ−で一杯だ。「いずみの湯」か「ゆらり」で本当は一浴びしたいがバス利用では無理だ。河口湖駅前で一浴びだ。
 帰りはのんびりしたものだ。4時29分発の新宿行きの高速バスを予約する。バスなら座って帰れる上、料金も電車利用より800円安い。ただ難点は渋滞になると時間がかかることだが、私は山の帰りはこの高速バスをよく利用する。2時間近く時間がある。駅前で入浴だ。この風呂は駅前のビジネスホテルの4階にあって富士山が見える展望風呂だそうだが昼間の客集めなのだろう。料金は600円と格安だ。バスでは居眠りをして新宿に1時間遅れで帰り着いた。梅雨が明けたら何処に行こうか。思いはどんどんひろがる。
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