第293回 塔の岳(木の又小屋の近くにある変わった樹形のブナの木)(’02/10/12〜13)
 いよいよ丹沢だ。ここ3ヶ月ばかりは7月の利尻山を皮切りに針の木岳蓮華岳七倉岳縦走、飯豊縦走、那須連峰、尾瀬と遊んだ。10月の声を聞くとホ−ムグラウンドの丹沢だ。いつもの大倉尾根を登って塔の岳だ。
 渋沢駅のバス停では大勢の登山者が列を作っている。お天気はいいし、最高の連休の始まりだ。大倉からいつものペ−スで歩き出した。10月ともなると気温も低いし歩きやすい。順調に登ってきた。花立山荘でトン汁を頼んでおにぎりを食べる。時計を見ると丁度12時だ。大倉を9時15分に歩き出しているから3時間をきっている。最初の頃、この小屋の前のベンチに息も絶え絶えに座り込んでとても山頂まで行けるかどうか不安であったが、何度も登っていると違うものだ。小屋を出ると尊仏山荘の大野さんに声を掛けられる。ボッカの途中で休憩中だ。今月15日に発売される「山と渓谷」11月号に彼の撮った写真が掲載されるのだ。尊仏山荘のHPで知っていたので話すと嬉しそうだ。彼が桧洞丸の青が岳山荘の管理人をしている頃からの知り合いでセミププロ級の写真家だ。青が岳山荘に泊まったときは写真のことを教わったものだ。一足先に登りだす。山頂は大勢の人で賑わっている。富士山は見えるがモヤッテぼんやりとシルエットだけだ。尊仏山荘でコ−ヒ−を飲む。10分遅れくらいで大野さんが到着だ。40キロ前後の荷を背負って戸沢出会から登ってくるのだからたいしたものだ。
 この後表尾根をくだって木の又小屋に向かう。3ヶ月ばかりご無沙汰したわけを話そうとすると、わかっていますという。常連のTさんが私のHPを見て話していたそうだ。木の又小屋で近くに樹形の変わったブナの木があるという。何十回も泊まっているがこんな話は初耳だ。最近わかったのであろうか。中森さんに案内してもらって写真を撮った。成る程通常見るブナの樹形とは違っている。中森さんの話では「スズタケの中で芽吹いたものの陽を遮られなかなか伸びられずスズタケが枯れると同時に伸びたために変わった樹形になったのではないか」と専門家が言っているそうだ。樹齢は100年は超えているそうだ。今夜の泊まりは16名だ。夕食後、Wさんが持ってきたワイン2本を開けて皆さんに振舞う。Kさん達がマレ−シア人の若い人を連れてきた。とりわけ同宿の中年女性二人組はキナバル山に登っているとかで山の話、現地の話と話題は尽きない。大きな小屋では概してグル−プで来ていて登山者同士あまり交流がないが小さな小屋はこういうところがいい。翌日は表尾根をくだり烏尾山荘で一休みした。この後、三の塔、二の塔を経由して久しぶりに二の塔尾根をくだり菩提におりた
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