第288回利尻山(02/7/4〜9)
 私の夏山シ−ズンの開幕第一弾は北海道の利尻山だ。4日羽田から稚内に向かった。一足早く車で北海道に向かった義弟と利尻島鴛泊港で落ち合い利尻山3合目北麓野営場にテントを張った。5日早朝に登りだしたが雨が降っていて6合目で森林限界を出たあたりからは風も加わり最悪のコンデションだ。8合目の避難小屋は大変な混雑でかろうじて隙間を見つけて携行食を食べる。ここから大半の登山者は引き返したがあきらめきれず9合目まで登った。風も強い。やがて登りついた9合目には、標識の下に「ここからが正念場です」と書かれている。たしかにここまでは格別難しいところもない。丁度居合わせた何度か登っているという人の話ではここから最後の5勺がガレ場で右も左も逃げ場のない難所だという。この風で事故でも有ればと思い涙をのんで引き返した。下山後、町営利尻温泉で雨でずぶぬれの衣服を着替えひと浴びした。入浴中に備え付けのコインランドリ−で洗濯をして、その後車で島内を一周した。昨日フエリ−から見た利尻山は今日は厚い雨雲に覆われて一切見えない。
 6日からいよいよ私のセンチメンタルジャニ−の始まりだ。この機会を利用してかって住んだ町を回ってみようというわけだ。最初に訪ねたのが浜頓別だ。50年も昔のこととなると町の様子もスッカリ変わっている。それでもかっての駅前のお店に入って思い切って尋ねてみたら小学校の4,5,6年次の同級生の女性Sさんに会えて二、三の友の消息が聞けた。浜頓別から南下したが、途中、豊富では油の浮かんだ温泉につかったがガソリンの匂いには驚いた。小学校1,2,3年次を過ごした羽幌は思い出の手がかりも無くただただ驚くばかりであった。父の最期の任地であった北竜町では泊まれずNHKの連続テレビドラマ「すずらん」ですっかり有名となった明日萌駅(正式名称は留萌本線恵比島駅)の近くにある沼田町のほろしん温泉に泊まったが、ここでは思いもかけず高校時代の友I君(室蘭在住)とM君(仙台在住)に夕食時レストランで声を掛けられ驚いた。二人は中学校のクラス会にご夫婦で参加したという。中国瀋陽から引揚げた旭川などは大都会で思い出の片鱗もない。いつか登ろうと考えている大雪山山行の下見とばかりに立ち寄った層雲峡では国道から林道を20キロも入り込んで日本秘湯の会大雪高原温泉でひと浴びしたが、この林道では写真のキタキツネに会った。
 道内のあちらこちらに寄り道をして千歳空港で車で東京に戻る義弟と別れて帰京した。利尻山は雨と風で9合目で引き返し悔しい思いをしたが、こんな沢山の思いがけない出来事に出会た上、車で走りぬけた北海道の自然の雄大さには満足感で一杯であった。
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