私の読書備忘録4
 大学では経営学に関連する科目は1科目も受講したことがなかった。当時、大変な人気を博していたドラッカーの名前は知ってはいたが読んだことはなかった。大学を出てから試験のこともあって、最初、有斐閣から出ていた「現代経営学入門」を読んだ。

櫻井信行「現代経営学」
クーンツ=オドンネル「経営管理の諸原則」

 これらの経営過程論というアプローチから勉強を始めたので試験委員だった市原季一教授の著書を手にしたが違和感があったし、もともとドイツの社会科学にはアレルギーがあったので読もうという気はさらさらなかった。

その後試験も止めてしまったので経営学の学問的な本は手にしたことはない。事務所の職員数も次第に増えてきたし、仕事も仕事であったので週刊東洋経済の書評欄で取り上げられている経営書はかなり読んだ

中村秀一郎「現代中小企業史」
土屋守章「ハーバードビジネススクールにて」
岡本靖雄「日立と松下」
杉山隆男「メデアの興亡」
IBMの創業者のワトソン自伝
等企業史というか経営史というかこれらの本を読んでとにかく面白かった。

 ただ実際には職員数も10人から20人前後で、関係する仕事先の規模も大差がない。こういう規模で経営学書で言う組織論など読んでも何ら実感はわかないし、所詮無理というものと思った。こういう経営学書から興味を持って読む分野も様変わりした。

岩田龍子「日本型経営の展開」

司馬遼太郎「国盗り物語」
司馬遼太郎の著作は全て読んだ。この小説を取り上げたのは、最近、思うことがあって取り上げた。
斎藤道三が家臣からその行動基準を問われて、「お前達は忠であり、孝だ。俺は利だ。」と答えた箇所が有り、昔、文芸評論家の尾崎秀樹が手厳しい批評を下していたのを読んだ。企業の経営者もよほど考えなければこうした理屈で落とし穴に落ちてしまいそうだ。不正は会社のためだ、従業員のためだ等の口実で身を滅ぼす事例が枚挙にいとまがない。

恩田杢「日暮硯」
大和勇三「戦国武将シリ-ズ
アルビントフッラー「第三の波」
カッパブックス編集部編「敗軍の将兵を語る」

 事務所の経営に当たっては何時の頃からか、生物論的モデルに基ずく経営組織としてアメーバー経営組織を標榜するようになった。原さんも異論もなく当たり前のような受け止め方であったので事務所では毎年4月の年度初めには職員全員を集めて繰り返しこの経営理念の話をした。ただこの「経営」スタイルにおいては細胞というか構成員をつなぐ神経系に当たる要素が非常に大事であり、この神経系<報告・連絡・相談>がこのシステムの根幹をなすためにことある毎に<報告・連絡・相談>の重要性を話してきたし、このことが理解できない人間はお引き取りを願った。数年前、週刊東洋経済で「免疫系経営のすすめ」という小論を読んで我が意を得た。

今回こういうスタイルで骨格を書き上げてみた。取り上げた本の書評はこれから追加する。(未)


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